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アダム・スミスの誤算

 以前、老眼のおかげで最近本がなかなか読めなくなってしまった、なんていう、政治経済とは全く関係ない記事を書いたら、なんと当ブログNo.1のヒット記事になってしまったという、嬉しい反面ある意味ちょっとなんだか情けないことがあったのですが、俺が本を読めなくなったのはいつからだろう - 強靱化のすすめ

……まあそれはともかく、最近本を立て続けに読んだのでご紹介、その1。

アダム・スミスの誤算

 前回の記事で、一八世紀の偉大なる経済思想家、アダム・スミスの名前が出てきます。そしたらコメント欄で、スミスの経済学について、ちょっと認識が違うのでは?というご意見を頂きました。この記事の下の方ご参照下さい。言い訳じみたセルフコメントも書かれています。

ベーシックインカムとは何だろうか - 強靱化のすすめ


 確かにこれはちょっと認識不足でした。そういえば俺その本持ってたよなあ、と思い出しまして。以前、電車に乗る直前に取りあえず適当に選んで買ったんです。結構難しい内容で、三十分くらい読んでそれっきりになっていました。で、つい先日、一気に読みました。

 元々は1999年に出版されていて、それが今年、文庫本で再版されたもの。
これ15年も前に書いてたのか。佐伯啓思マジパねえ!
 アダム・スミスを読み解くことで、リーマンショック的なものを予見しています。もっというと更にアダム・スミス先生が凄いわけですけど。古典に対する畏怖を改めて実感しました。

250年前、産業革命以前、国民国家以前の「古臭い経済学」だなんてとんでもない!

スミス先生、大変申し訳ありませんでした。

高橋洋一なんて御用学者の記事読んでる場合じゃないって。


 面白かった点を挙げますと、通貨量を増やしてもインフレにならないよって話。増やしたおカネで金(GOLD)が買われ、通貨は全部海外へいってしまうんですって。これは金本位制での話ですけど。現政権の金融緩和では、日本円がGOLDではなく、代わりにドルや外国債になってしまう。国内には定着せず、海外へ行ってしまう。これ小泉政権下でもやってましたよね。リフレ批判の記事で書きましたけど。リフレ派はこれを「どーでもいい」と思っているようなのですが、水野和夫氏や柴山桂太氏は大問題だと言っている。なんでリフレ派はこれを無視するんだろう。リーマンショックの要因の一つなのに、どうでもいい?

見えざる手

 アダム・スミスといえばこれ。「見えざる手」、または「神の見えざる手」とも言われます。これぞ市場原理の代名詞、市場による自己調整機能を表す言葉として用いられています。とにかく市場経済は放っておけば一番いいのだ、という考え。レッセフェールというヤツです。

これぞアダム・スミス最大の誤算。

 スミスとしては、人々には祖国を愛する心があり、地に足を付け、自国が発展することを望んでいる。だから政府は余計なことをするな、という意味だったようです。
 自由貿易も結構だが、外国からものを買いたくったって、国内経済がしっかりしていなければ話にならない。まずは農業、そして工業。国内基盤が整備されることで、初めて海外との貿易が可能になるとか。人々に祖国を愛する心があれば自然にそうなる。
 だから政府は率先して金持ちと結託し海外進出して金儲け、なんてのはダメだ、祖国を破壊してしまう。スミスが言っていたのは、そういうことではなかったか。アダム・スミスの時代に、既にそういう問題が起こっていたようです。海外投資(植民地経営)に夢中になって国内産業が疎かになるという。

これ、もろに安倍政権批判になっているのですが、佐伯先生が書いたのは1999年。スミス氏が書いたのは1776年。


 バブルのメカニズムについての話も出てきます。いわゆるミンスキー・モメント的な話とか。なんかもう現代経済の問題、これに全て書かれているんじゃないかって気がしてきました。もちろんこれは佐伯氏の解釈、という面もあるのだろうとは思うのですが。いや、恐れ入りました。


 アダム・スミスは祖国愛にあふれた人だったようです。スミスには「道徳感情論」という著書もあって、佐伯氏はこちらにも言及されていました。この辺も大変興味深い話でした。今後の記事に取り入れていこうと思います。

 さて、これ本の表紙を見ての通り、上巻と下巻があります。



こちらはケインズの予言というタイトル。こっちはまだ買っていません。
引き続き読んでみようと思います。



※ 下巻の方も書きましたfnoithunder.hatenablog.com


※ 別件の「誤算」シリーズfnoithunder.hatenablog.com
fnoithunder.hatenablog.com