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ケインズの誤算

リフレ理論

えー、前回の続きではありません。全く別、とても興味深い本を読みました。



リフレ派の話を本で読んだのは初めてでして、色々と勉強になりました。

というわけで以下例の如く、リフレ批判になってしまいます。またか、もう飽きた、という人は適当に流すなり……察して下さい。


 じっくり読んで改めて思いました。リフレ理論は馬鹿馬鹿しい、としか言いようがない……なんでこんなにもナイーヴ(単純)なんだろう……アマゾンでは高評価なので、私がおかしいのか?
 はてな村的に言えば、著者の松尾さん、話の展開がちきりん師匠っぽい。雑過ぎる。わざとやってる?(はてな村人でない方、意味不明でスミマセン……)


 こういう今のリフレ派がケインズを語るってのはまさに「ケインズの誤算」としか思えないな。騙る、と言って差し支えない。あの世でケインズアダム・スミスと一緒に苦笑していることでしょう。


 このタイトル。ご本人が付けたものでは無い、とのことなので仕方ありませんけど。きっと多くのケインズ派からは「全然違う」「分かってない」「これだからリフレ派は……!」とか言われることでしょう。

似非ケインジアン

 リフレ派は金融緩和を「ケインズ政策」だとし、リフレ政策に否定的なケインジアンを「金融緩和を否定するとかケインズ否定だし。そんな奴は似非ケインジアン」と言います。この松尾さんもご多分に漏れずそうなのですが、そもそも、金融緩和それ自体を否定するケインジアンなんぞはいません。もう少しちゃんと聞いて欲しい。知ってて聞こえないフリなのか。

 ケインジアンは「中央銀行が人々のインフレ期待を+3%にコントロールできる、というのが意味不明だ、根拠がわからない」と言っています。これの根拠を聞いたことが無いし、本を読んでも解らなかった。


 そうなるまで緩和をやればいい、それでも駄目なら政府が金を使ってみろ。絶対にインフレになる。それでもならなければ税金全て廃止してしまえばいいじゃないか。ラッキー!とまあ、「バーナンキ背理法」や「フリードマンのヘリコプターマネー」の話を持ち出されてしまいました。これじゃあ「長期的に緩和マネーが定着する」って話になっちゃってるし、それが目的なの?日銀当座預金ブタ積みで構わないんじゃなかったっけ?外国に放出して通貨安、の分はどうなった?

 一体なんでこれで+3%にコントロール出来るわけ?さっぱり解らない。全く解らない。「バーナンキ背理法」を出すということは、長期均衡の話になっちゃってる、と思うのですが。

これってケインズは意味がないって言ってますよね。
「長期的に我々は全て死んでいる」って。批判してましたよね。

ナイーヴな解説

 これについて私もナイーヴに書いてしまいますが、

リフレ派は「中央銀行が金融で経済をコントロールすべき、政府は余計なコトをするな」

と言っている。経済を中央銀行が任意にコントロールできる、と言っている。ルール策定が正しければ、それだけでほぼ100%いける、と言っている、と思う。


これに対してケインズ派は「なんで中央銀行が金を刷る!だけなの?なんでパラメータが一つしかないの!?他のはどうしたのよ??と言っている。例えば……

 日本の農業は弱い。生産性でアメリカのモンサントにはまるで歯が立たない。アメリカやオーストラリアに勝つには生産性を3~5倍にしなければならない。すると例えば稲作農業なら70%くらいの人が廃業になりそうだ。多分そうなるでしょう。農家の人の多くは将来の希望もなく、子や孫には引き継げない、と思うだろうし。先祖から代々受け継いできたものを「既得権益」「参入障壁」だとか「甘ったれるな」とか叩かれている。急に外国相手に高付加価値農業をやって外国にブランド米を売れ!とか言われてもね。農協解体で生産性が300%も上がるの?逆。壊滅だよ。


 これは製造業も似たようなもの。例えば普及水準の液晶TVが中国で200ドルで生産されているなら、同レベルで製造できなければ戦えない。日本で生産するなら24000円ってこと。まあ、3年前なら16000円だったことを考えるとマシにはなっているけどね。何を造るにしたって同じ事。もう製造業ではマトモに稼げない。


 とまあ、万事これなのですよ。今後も当分続いていく。私のやっているメカトロの仕事なんて、日本ではもう細っていくばかり。アメリカにモノが売れる時代は終わったし、中華投資もバブル崩壊でおしまい。私はあと20年働かねばならないと思うが、今の仕事を続けられる気がしない。俺の給料が2007年度を超えることは無い。


 こういう現実を非常に多くの人が抱えている。実際に多くの人の現在の仕事は失われていく。そうやって自然になにがしかの均衡点を目指していく、というのは確かでしょう。当事者は誰も救われないけど、政治的雇用で救うべきでは無い。経済学の問題では無いし。

 商売として成立しないモノは不要なモノとして、自然に淘汰されていく。それが長期均衡としてのあるべき姿でしょう。


 こんな状況で、中央銀行が金を刷るからインフレ3%で安定均衡します。万事OK、安心して買い物しろとか借金しろとか言われてもね。これで希望が持てる、という人の気が知れない。

ケインズの逆襲

 ケインズはこれを放置するな!政治の力で人々を救え!と言っているんです。それが「社会」だと言っているんです。どうしても救えないのならせめてソフトランディングさせろと。政治の力でやれと。

 なぜリフレ派はケインズを持ち上げるのですか?こんなの経済学的には完全にデタラメでしょう。均衡しないでしょう。リフレ派は正直に言って下さい。「ケインズ経済学はインチキだ!デタラメだ!」と。ハイエク師匠はそう言っていたはずですよ。


リフレ派は、なぜケインズを持ち上げるのですか?おかしいですよ。


(多分次回に続きます)


※ 関連記事:記事に出てきた「バーナンキ背理法」とは?

バーナンキの背理法 - 強靱化のすすめ