日本の「財政破綻」シナリオ

いわゆる「日本の財政破綻」シナリオ。


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誤解されているところがあるようなのでツッコミを。ただまあ確かに、
「いずれ国債金利負担に耐えきれなくなり日本の財政は破綻する」

そんなふうに考えていた時期が俺にもありました
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前にやりましたけれど、国債金利にはプライマリとセカンダリ、二種類あります。前者は政府(財務省)が新規発行した時。後者は、発売後に市場で取引された時の金利


fnoithunder.hatenablog.com
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具体的にはこんな感じ。


 西暦2020年、10年物の新規国債が単利で年2%の金利だったとする。販売価格が1000万円なら、西暦2030年に政府が1200万円で買い取って(償還して)くれる。国債は大概、こういう設定で発行される。


 私がこれを買ったとして、10年待たず5年後に誰かに売っちゃうとしたら、いくら?

5年持ってたから2% × 5年 で10%の金利がついているはず。

というわけで、通常であれば、西暦2025年の段階では1100万円で取引されます。


 しかし、日本国に何らかの問題が発生し「日本国債」なんて危ないだろ、とか、想定以上のインフレが起こっていた場合、など。

1100万では買ってくれる人が見つからない。しょうがないので値引きする。元値の1000万円で売れれば御の字、と思ったがそれでも買い手がつかず、800万円まで値引きしたらようやく売れた!こかげさんが買ってくれたとする。


 これ、西暦2030年に政府が1200万円で償還してくれることは変わりません。こかげさんは、5年で800万→ 1200万、400万円・50%の利鞘を得られます。単利計算で年利10%ですね。


これが、セカンダリ金利が10%になった、という状態。

プライマリ2% → セカンダリ10%


この例を見ての通りで、金利が5倍になっても政府の負担はいっさい変わりません。こかげさんが受け取る利鞘の増えた分の200万円は私が負担します。政府ではありません。

 このように、もし西暦2025年に本当に10%程度のインフレが起こっているなら、償還サイドの実質負担は大幅に減っていきます(国債を持ってる奴がインフレ分を負担する)ので、政府は楽になり、財政はどんどん健全化していくのではないでしょうか。私が小学生の頃なんて郵便局の定期預金金利は8%くらいありましたし。そんな状態なら景気が良さそう。決して珍しい状態とも言えません。

 まあこの辺はリンク先の記事にもありますように、あまり真剣に検討しても仕方がありません。先のことはよくわかりませんし。


 私は、日本の「金融不安由来の財政破綻」は起こり得ないだろうと思っています。もっと酷い事態を想定しています。私の生きている間に「日本の財政破綻的な状態」は充分にあり得るだろうと。今後20~30年程度以内のスパンで。それは金融由来ではない。

まだ話の準備が出来ていないので今はやりませんけれど。


一つあげておくなら、金融経済とはバーチャルな空間だということですね。



 1997年のアジア通貨危機ではタイ、インドネシア、マレーシア、韓国などの通貨が、短期で50~100%下落しました。2010年頃のユーロ不安では、ギリシャを始めとし、スペイン、ポルトガル、イタリアなどの国債金利が大きく上昇しました。つまり国債価格が下落しました。いずれも土地下落、株下落も起こっています。


 ただ「100年に1度の危機」と言われた「サブプライムバブル崩壊」では、アメリカの通貨安、国債安は起こっていません。日本の1990年代のバブル崩壊も日本国内では100年に1度レベルの危機でしたが、こちらも通貨安と国債安は起こっていません。どちらも土地安と株安でした。


 或いは2010年頃の日本。当時の政権の悪政により、史上最大額の赤字国債を発行しつつ、なぜか財政政策は止めてしまい、リーマンショックの不況対策をせず、雇用対策をせず、金融を引き締め、著しく景気を悪化させ、世界から嘲笑され、見向きもされなくなりました。こういう「もう日本ダメだろ」という状態で、通貨高が起こりますね。日本円が買われたのです。東日本大震災の時もそう。1ドル80円だったのが、翌週には一気に75円まで高騰しました。つまり「なんか日本ヤバイぞ、ダメだろ」って状態で円が買われるのです。日本円が買われるのは「安全資産だから」ではないんです。もう分かりましたよね。何度もやりましたもんね。金融ビッグバンです。


 アメリカが量的緩和QE)やってたから、というのはもちろん関係ありますけれど、じゃあなんで日本円が買われるの?というところまで、ちゃんと考えてね。「金融不安」由来の円暴落と日本国債暴落は起こらないのです。(別の要因で起こるのです)



 「アメリカ、日本、中国、ドイツ、イギリス、のような国」と、「ギリシャ、スペイン、イタリア、ポルトガル、韓国、タイ、マレーシア、インドネシア、ブラジル、アルゼンチン、のような国」では、金融不安で起こる現象が異なります。主に通貨の流れ方向の問題。また、ユーロ加盟国は通貨発行権がありませんので、本当にどうしようもありません。どうにも救いようがありません。


現在の通貨・金融不安のリスクは、

ユーロ>>>>>>中国>アメリカ>日本>イギリス

って感じじゃないかなあ。



※ 参考関連記事、ヒント記事
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