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「アベノミクス 第一の矢」の理想と現実

リフレ理論

 すんません。ちょっと危なっかしい話題に便乗させていただきます。選挙前だし。
「理論」ばかりでなく「現実」はどうなっているのか、の検証が必要だと思うのです。



リフレ政策はトリクルダウン理論じゃないよ、という話 - 児童小銃


 記事冒頭で紹介されているツイート、まあ気持ちは分かるけど悪意がこもり過ぎかなあ。説得力あるようなないような。アベノミクスが約2年経過した今振り返ってみると(結果的には)決して的外れではないよな、とは思います。実際こうなってしまいつつあります。本当はこんなはずではなかった、のでしょうか。

リフレ政策の狙いと財政健全化

 現在の日本の名目GDPは五百兆円弱。対して「財務省が主張するところの、いわゆる国の借金」は一千兆円を超えます。GDP比200%超の「借金」です。緊縮財政が叫ばれて、デフレ要因の一つにもなっていますね。
 故にこの対策として、例えば日本の名目GDPを一千兆円、二千兆円にできれば、「借金」のGDP比は200%→100%→50% となります。リフレ派の考えている方向性ってのはそういう感じだと理解しております。「財政健全化」を目指すにはそれしか手段無さそうだし。
 極端に言えば、例えば年収500万の人の年収が2000万円になるように物価調整できればいい。資産価値は1/4になって負債価値も1/4。つまり貯金しておくと損、借金すると得する。適度な時間をかけつつ、そういう方向に持って行く。とまあ、リフレとは大雑把に言えばそういう話(だと思う)。

 インフレにより金融資産を目減りさせる方向に向ければよい。そうすれば金を使わざるを得ない方向にいくだろう。仮に「実質GDP」は大して伸びなかったとしても「名目GDP」さえ伸ばせれば経済や財政は健全化される方向に向かう。

確かにその通りだと思います。理論的にはいいんじゃないでしょうか。


(実質GDPと名目GDPの記事はこちら)


実質GDPと名目GDP - 強靱化のすすめ

量的緩和だけでいいの?

 緩和マネーをどうやって市中物価に定着させるのか?「期待」以外の根拠を聞いたことがない。「日銀当座預金残高」の増加が「期待」に繋がる。この情報を「合理的経済主体」である国民およそ全てが把握・共有しており、この金額見て錯覚を起こしインフレ期待が発生する。で、買い物額や借金を増やす。ってことでしたっけ?
 そんな「合理的経済主体な国民」ってホントにいるんですかね?特に意識していなくても、計算式通りに人間が合理的に判断し、動くの?


現実には全くそうなっていないようなんですが。
何?タイムラグですって?

金融緩和は即座に効くカンフル剤、なんじゃなかったけ?世耕弘成さん。
なんか話が違うんじゃない?
なんか違うことを「期待」してるんじゃないの?
即座に効くのを期待してるって、完全に資産インフレ期待じゃん。
これじゃ「トリクルダウン」期待だと批判されても仕方がないよね。


量的緩和を支持するリフレ派には、理論だけではなくもっと現実的、かつ説得力のある説明を期待します。

現実はどうなのよ

現実はどうなっているかのニュース。

こちらはロイター。「黒田バズーカ」とやらの直後、38億ドル(約4500億円)が日本株ファンドから海外へ流出。


日本株ファンドからの流出額、10年5月以来の大きさ=週間調査 | Reuters

 日銀やGPIFが「ETF」にぶっ込んだ金が、利益確定で即座に海外勢に持って行かれてますけど。バカ過ぎ。海外投機筋は笑いが止まらんでしょう。これが「市場との対話」の現実です。俺の年金を返せ……


海外ヘッジファンド勢は「黒田バズーカwごっつぁんですwww」って感じ。
嫌韓厨の方、「韓銀砲ワロス曲線www」とか草はやしてる場合じゃないと思うんですけどね。

こちらはブルームバーグ。海外勢は円キャリートレードを利用し、金利の極端に低い日本から資金調達。

【今日のチャート】日銀の異次元緩和第2弾、円キャリー取引優位に - Bloomberg


 日本から凄い勢いで資金が流出していますよ。どっちもこれ「円売り外貨買い」ですよ。こんだけ大量に円売りされれば、そりゃ円安にもなりますよ。消費税増税で実質GDPが落ち、デフレ化しつつあるにもかかわらず円安進行。緩和マネーが全く国内に定着せず、どんどん外貨に化けてる。っていうか政府主導で日本国債や年金基金を崩し、わざわざ海外に流出させている、としか見えないんですけど。いやまあ、量的緩和だけやってりゃあ黙ってても勝手にこうなるんですけどね。全然話が違うじゃん。何がしたいのか、本当の狙いを言いなさいよ。


 凄まじい円キャリートレード、日本円流出で円安誘導。これってサブプライムバブルの時と同じ構図じゃないですか?サブプライムバブルを支えた資金の30%以上が、小泉政権時の量的金融緩和から円キャリートレードで調達されてたらしい。しかも緩和の額面は今回の方が圧倒的に大きい。*1

あんときゃさらに「日銀砲」とか言って、財務省が外貨準備から百兆円使って、米国債まで買い支えて円安誘導してたそうですね。そうやってアメリカバブルを支えてましたよね。


その結果、世界がどうなったか。

もう忘れちゃいました?


 ↑ここで書いた現象っていわゆる「リフレ派の量的緩和理論」とは無関係に起こっている、こんなことは理論上は全く期待していない、と認識しているのですが。違いますかね?教えてください。想定通りなんでしょうか?どこまでが??本当は何を期待しているのですか?


 今はアメリカ自体ではバブルは起こっていないようですけど。ブラジル、インド、中国、トルコ、ロシア、アフリカなどなど。アメリカのQEが終了してしまい、今、新興国で弾けかかっているバブル(主に土地バブル)を支える資金源が日本に移っているんじゃないの。という可能性について、もう少し真面目に検討した方がいいと思いますよ。リーマンショック的なことが、あちこちの新興国で発生する可能性。アメリカはQEで無理矢理ドル刷ってカネ返してくれましたけど。アメリカだから出来たんですよ。新興国にそれが出来ると思います?

まとめ

 リフレ派の理想。インフレによる金融資産価値の目減りを狙う政策は、非常に正しいと思います。しかし、異次元緩和はあまりにも副作用が大きい。っていうか、異次元緩和ってそもそもがリフレ政策なんですかね?的外れって言うか、ホントは違う的を狙ってるでしょ。異次元緩和の目的って、表向きには「リフレ政策」なんだけど、本当の理由は別にあるんでしょ?って思わないのが不思議。

 
続編記事 書きました

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*1:興味のある方は野口悠紀雄氏、菊池英博氏の論文を探してください