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「破壊」が「政策」と言えるのか

前号までのあらすじ

 青森行き夜行列車の廃止を知った乗り鉄ヲタ・フノイは、去る一月某日、寝台特急あけぼの号へと乗り込み、一路北へと向かう。そして雪の中、青森駅へ降り立つと、北へ帰る人の群れは誰も無口で、海鳴りだけを聞いていた。私も一人連絡船に乗り、凍えそうなカモメ見つめ泣きながら、地方行政のあり方について思いを馳せるのだった。

(前回の記事はこちら → 津軽海峡・冬景色 - 強靱化ノススメ

TPPで農業改革?

 東北地方の主産業は農業や漁業です。TPPの行方を、固唾をのんで見守っている、という人々も多いのではないでしょうか。TPP賛成論者は「日本の農業は成長産業だ、世界に打って出ろ」みたいなことよく言ってるけど、一年の三割近くが雪に埋もれてしまう地の農業が「成長産業」ってほんとなのかなあ。季節やら天候やらの影響を滅茶苦茶受けるし、広大な土地は必要だし、時期によってやることは全然違うし。地形もフラットじゃないから、機械化にも限度がある。米はともかく、野菜や果物は自動化なんてできないでしょう。生産性がそう易々と上がるとは到底思えません。農産物は種まきから収穫まで結構時間がかかるし、繁忙期と閑散期の落差も激しい。流れ作業で、一時間当たり何百個何千個単位、なんなら24時間体制で安定してポンポン生産できる、機械部品やインスタント食品、パンやお菓子とはワケが違う。


はてなブログ内で、農業についての雑談記事を見つけたので貼っておきます。

農業ってそんなに面白いか? - Lost Direction45

こちらの記事、別に弊ブログのような公共政策論の話をしている訳では全然ないので、リンク貼るのもなんか、躊躇われたのですが、非常に適切な指摘なので貼らせて頂きました。日本で最も生産性の高いはずの農業である、米作りですらこの有様です。こちらの記事の通りで、基本的に、農業は生産性も低いし儲からない、面白くもない。やりたい人の気が知れない。リスクはやたらでかいのに、リターンは大して望めないという、誰がどう考えても割のいい産業ではありません。

地域主権てなに?

 TPP賛成論者って、同時に「地域主権」とか「道州制」論者であることが非常に多い。「地域主権」なんて言葉を聞くと、地方に優しい行政、みたいなイメージではありませんか?地方の自主性を重視するって話だし、一見正当性があるように感じられます。ところが。よくよく聞いてみると、結構違います。

切磋琢磨だ!

 みんながみんな、そうだ、というわけではありませんが、ほとんどは大都市圏の立場からものを言っていますね。ぶっちゃけ、地方交付金が無駄だ、払いたくないってことでしょう。大阪のアレとかって、実は、完全にそうですよね。地方は補助金漬けだとか、甘ったれてるとか、そういうのが根本にある。これを、論点ずらして、地方だってやればできる!日本の農業は成長分野なんだ!構造改革しろ!地域間の自由競争で切磋琢磨だ!なんて言ってるわけです。東京の超高層オフィス街、神奈川の大工業地帯、すごい勢いで客が回転する都市部のファミレスや牛丼屋。そんなところと生産性で真っ向勝負だなんて、そんな殺生な……って話です。或いは、創意工夫で世界に打って出ろ!なんて急に言われても。農村に住む人々にしてみれば、?ヘ?……なんで世界に?オーストラリア、アメリカのグレートプレーンズ、カリフォルニアと競争しろ、真っ向勝負しろ、戦え!だなんて、そんな殺生な……って話です。どんなに頑張ったって、絶っっ対に勝てないと思います。

脆弱ゾンビ

 農業や漁業が本当に成長分野なら、もっとみんな投資するでしょ?なんでしないの?岩盤規制があるから?違います。全く逆です。弱いから、岩盤規制で守らないと、存続が危ないんですって。儲からないから、全然お金が入ってこない。放っておくとお金がどんどん離れていってしまうんです。お金がなければ生活も成り立たず、人も存続できません。だから岩盤規制で守らなければならないんです。外国にも首都圏にも、どう頑張ったって生産性では勝てないのです。じゃあそんな脆弱な、勝てない奴らはゾンビなので抹殺します?食べ物は全て海外の巨人から輸入、に切り替えます?

無責任政策

 地方が補助金に甘えている、って批判があるなら、甘んじて受けねばならない、という面があるのは確かでしょう。確かに構造改革は必要でしょう。しかし、ナントカ競争力会議が主張するところの「構造改革」と言えば、「規制緩和」と「自由競争」ばっかり。そして競争力をつけろ、外国と戦え、都市と戦え、「岩盤規制をぶっ壊せ」って。それが「政策」と言えるのでしょうか。「壊す」のが本当に「政策」と言えますか?全く逆なのでは?一次産業を含めた、日本の全ての産業をどうやって保守、育成、強靱化していくのか。創ること、育てること。それが「政策」ではないでしょうか。それが政策担当者の使命なんじゃないの?全て「自己責任」ってことで、当事者に責任を負わせる、って。政治家も行政官もエリートもいったい何のために存在しているのか。全くの無責任ではありませんか。


(次回に続きます。次は連合国軍の陰謀!です)


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オマケ、こちら十和田湖。強風でやたら寒かった……

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更にオマケ、奥入瀬渓流。冬も一見の価値あり、です