津軽海峡・冬景色

 前回はミクロとマクロのお話でしたが、当ブログを振り返ってみると、マクロ的な話がメインで、私個人のミクロの話はあまりしていないなあ、ということに気付きました。というわけで、今回はミクロの話から循環を始めることにしましょう。

寝台特急あけぼの

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 上野発青森行きの夜行列車です。石川さゆりさんの「上野発の夜行列車降りたときから~青森駅は雪の中~」なんて有名な歌「津軽海峡・冬景色」が流行したのは1977年、この年のレコード大賞・歌唱賞なんですって。2013年の紅白歌合戦でも歌われたとか。おお、すごい。

上野発の夜行列車

当時はこの「あけぼの」の他にも、津軽、八甲田、十和田、はくつるゆうづる、などなど、一日十数本の、上野発青森行きの夜行列車列車がありました。「上野発の夜行列車」ということなら、他にも秋田行き、盛岡行き、仙台行き、新潟行き、長野行き、金沢行き、福井行き、などなど。本当にたくさんあって、上野駅は昼も夜も長距離列車で賑わっていたものです。

 ちなみに筆者フノイは、20年くらい前、北海道バイクで一周の旅、の帰りに、急行「八甲田」に連結されるMOTOトレイン、というのを利用したことがあります。函館駅でオートバイを貨車に積載・自分は寝台車でもって、青函トンネル通って靑森経由、夜行でバイクと一緒に、ライダーは寝ながら返ってくる、なんてことができたんです。いやあ、懐かしい。

 って話は、まあ置いといて。上野-靑森の夜行列車、今では「あけぼの」一本だけになってしまいました。その「あけぼの」も本日3/14 で定期運用終了。今頃きっと上野駅は「撮り鉄」の皆さんでごった返していることでしょう。というわけで、津軽海峡・冬景色の歌詞の如く、上野発の夜行列車に乗って青森駅で降りる、なんてことは、今日限り、ついにできなくなってしまいました!(臨時運用は、まだ多少あるみたいですけど)


 じゃあ、なくなる前に乗っておかなければ、ということで今年一月、わざわざ乗ってきました。筆者フノイは、かなり不熱心ではありますが、実は「乗り鉄」です。ブログの趣旨とは全く無関係な上、ネタにしよう、という意識もなかったので、たいした写真も撮ってきませんでした。今更ながら、なんか失敗したなーって感じです。

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上野駅21時頃

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個室寝台にて、フノイの足

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約13時間後 靑森駅10時頃 

 当然ながら、更に靑森駅から青函連絡船に乗り、カモメを見つめて泣く、なんてのは四半世紀前、青函トンネルが開通した1988年で終了していた、と思っていたのですが、でもまだ、青函連絡船に乗ることはできました。動かないですけど。連絡船の「八甲田丸」がメモリアルシップ、博物館船として残っています。

青函連絡船メモリアルシップ八甲田丸
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9D%92%E5%87%BD%E9%80%A3%E7%B5%A1%E8%88%B9%E3%83%A1%E3%83%A2%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%83%83%E3%83%97%E5%85%AB%E7%94%B2%E7%94%B0%E4%B8%B8

この八甲田丸は昭和39年製、なのでもう50年も経っているんですね。(もちろん私より古いです)ちなみに函館側は「摩周丸」ってのが止まっているそうです。

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船の操舵室より、津軽海峡を望む

 私が青森に着いたのは金曜日の朝遅く、ということもあり、地元の人も観光客も大していませんでした。船内は閑散としていました。視聴覚エリアがあって、①青函連絡船の歴史、②メモリアルシップの経緯、についてのドキュメント映像、それぞれ15分くらいずつ、が放映されていました。結構広かったのですが、私が両方を見ている30分くらいの間に、他に入ってきた人は2名ほど。
 老朽化も相当進んでいるようで、存続が危ぶまれているようです。入館料は大人500円でしたが、これじゃ船の補修どころか、経営としてみたら成り立っておらず、補助金なしでは立ちゆかないんだろうな、という気がしました。

こちらの情報によると、今後20年間展示を続けるためには、青森県の試算では改修費6億5千万円だとか。
http://app.m-cocolog.jp/t/typecast/263885/213106/71209522

営業収益で元取ろうとすると、単純計算で、えー、ざっくり1日10万円くらいのの稼ぎが必要。入館料一人400円平均としたら、250人か。維持管理費の他に、そんだけ必要ってことだし……私が行った日だと、その1/10くらいしか入ってないだろうなあ。こりゃかなり厳しそうです。民主党なら事業仕分けかな。現政権の「ナントカ競争力会議」の人なんかに言わせればきっと、「ゾンビ」事業扱いなんでしょうね。

 事業仕分けにしろ、ナントカ力会議にしろ、私個人的には色々と問題が多いと思うのですが、でもこの博物館船は厳しいかなあ。地味だしなあ。学校教育の場に、としても、青森県てそんなに人口多い訳じゃないし……ただ、これはほんの一例に過ぎず、各地方を回れば、色々とこういった事例はあるんだろうと思います。地域の活性化、ということで、色々知恵を絞って、アイデア出したり工夫したり、あちこちでやっているのでしょうけど。青函連絡船は、文化遺産としては価値がありそうだし、題材がある分、ここは恵まれている方なのかも知れませんが……

(次回に続きます)