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税制論議

経世済民

 メンタル弱いから、つい、こういうことを書きたくなってしまうんだよな。書くべきではないのだろうか、と思いつつも。やたらにメタ議論なんかやってると、かえって主張の仕方や議論が分からなくなってしまうこともあるしなあ。懺悔みたいなものです。長いです。

tyoshikiさんの場合

tyoshiki.hatenadiary.com

 前回の私と同じく、ニャートさんに言及している。記事は私より半日くらい早かったのかな。論旨には私と似た指摘がいくつかあって「問題の根本は日本の税金が安いこと」あたりが被っている。日本財政の最大の問題は「国民負担の低さ」なのですが、これに触れている人は滅多にいません。とても貴重なご意見なので、皆様ぜひ読んでおいていただきたいです。

 これに対する私なりの補足と意見。


 前回書いたように、日本の行政サービスはレベルが低いので、仮にドイツやフランス並みにしたい、という前提でシミュレーションをすると、


社会保障:現状は55兆円 → 60~70兆円 にする
税金  :現状は55兆円 → 150~160兆円 にする


って感じで、国民負担は220兆円くらいかな。ここまでやると、

・高速道路は全て無料、鉄道やバスはもっと安くなる
・教育や保育所の充実
・国防費は倍増
・国内重要産業の保護・育成
・求職者の就職支援、職業訓練

 などなど。行政サービスは格段に向上する。税金が3倍にもなるんだから当たり前か。重要なのが「穀物自給」で、100%が欧州先進国の原則。国民の安全保障のためには絶対条件だと考えられている。工業先進国であるドイツやイギリスでもほぼ100%です。穀物産業は徹底的に保護・育成されてきた。これはアメリカも同様。

 対して日本と韓国は、国家規模が大きくて人口も多く生産能力もある、にもかかわらず、ここを自由化だの開放だのと言って、穀物自給率は30%以下。単にアメリカの言いなりなんですけどね。自給率100%確保したのち、在庫量を下僕を使って調整したい、というアメリカ様のご意向。これを彼ら流にひとことで言えば

「自由は最大限尊重されるべきだ!」

マジでアメリカの「自由」「平等」「平和」を真に受けるのは、もうやめてくださいね。


※ ご参考
f:id:fnoithunder:20140316023745g:plain
(社会実情データ図録▽世界の穀物自給率 より引用)


 どこまでの行政サービスが日本で適切なのかは、よくわかりません。現代日本では受益者負担が原則、使うやつが払えばいいだろ、という考え方が強い。交通に限らずなんでもそう。これがtyoshikiさんの指摘していることで、日本は税金そのものは安いけれど、代わりに公共に関する料金が高い。福祉国家では税金で賄っているもの、支援していることを自分で支払わねばならない事が多い。OECDでは英米に似ている。ヨーロッパ大陸とは根本的に違う。交通や物流なんかは自分が直接使わなかったとしても、人々の暮らしに直結するから行政が支える、みんなで支える、というのがヨーロッパ大陸の考え方。学校教育だとか保育所なんかも同じ。


 日本の現状が問題なら、じゃあどういうバランスがいいのだろうか。どういう国にしたいのか。日本には内政にしろ外交にしろ、国家戦略がない。行き当たりばったり&アメリカの言いなり。個別政策を論じる前に、日本のグランドストラテジーをどうしたいか、を決めておく、立場を明確にしておく。そうでないと何を議論しても平行線だ。イヤな言い方をすれば、幼稚なレベルから脱することができない。

グランドストラテジー無しに、行き当たりばったりで話題になってる事だけにいっちょ噛み。政権交代も酷かったでしょ。


 ただ安倍が悪いとか自民がクソだとか、とにかくオレにもっと金をよこせ、うまく使ってやる、議員なんか減らせよ、オリンピックなんかやめちまえ、とか言っててもね。麻生がアホ、安倍がバカなら、鳩山もバカだし野田は大バカだし菅は頭ヶ岡椎蔵。確認済み。岡田や石破なんか基地外かもしれないぜ。確認してみる?


 ベーシックインカム(以下BI)とかもそうなんだけど。現状の日本のまま議論してもねえ。国債償還を除いた行政規模でGDP比35~40%あたりがBI議論の最低ラインじゃないか。巨大政府の煩雑な仕組みがもう面倒だし、半分くらい廃止して現金配布しちゃおうかみたいな、ヨーロッパでBIが議論され始めたのはそういう背景がある。だから政府規模の大きくない日英米韓あたりはBIあんま関係ない。

サンプル議論・法人税について

 日本の場合、社会保険関連の企業負担が大きいことがブラック企業の温床になっている可能性がある。その上、法人税率も高い。企業にばかり負担を求めるのはいかがなものか、というtyoshikiさんの意見について。仰るとおり、そもそも日本の企業の公的負担は現状でも大きい、という面はあります。完全に同意です。その上で私の意見を申しますと、対策としては、

・企業の社会保障負担は減らす
法人税は増やす

という方向がよさそう。以下、その理由を書いてみます。


 現在では、企業の社会保険負担が大きいがゆえに、企業は「正規雇用を増やす」ことに躊躇する、という面がある。人を正規に雇えばその分、社会保障費が固定費として発生し続ける。企業は固定費増大リスクを回避したいがために「とりあえず」請負やら派遣やらバイトやらのスタイルでやり過ごしたくなる。先の見えにくい時代なので、どうしてもそうなりがちなのではないか。
 
 ゆえに、社会保障の企業負担を減らして、一般財源の税金に振り替える、とかの方向がいいんじゃないかと。メリットとして、

① 固定費発生リスクが減って、正規雇用のインセンティブになる
② 企業負担分は「厚生年金」にしか使えないが、原資が税金であれば「厚生年金」の人にも「国民年金」の人にも、分け隔てなく分配できる

 
といったメリットが考えられます。


逆に法人税は上げてもいいんじゃないか、という立場です。以下その理由。

法人税は固定費ではない

 法人税社会保障と違って、固定費ではありません。儲かった時にだけ払う。赤字の時はゼロになります。例えば私が勤めている会社は、法人税は残念ながら2009~2015年の七年間、全く払っていません。創業四十数年で、納税できた年度はおそらく半分以下。リーマンショック以降はずっと払える状態にありません。2009~10年度の赤字が多すぎ、累積赤字が未だに解消できていない(この時期に政府の補助金が無ければ倒産していました)。なので、単年度では黒字になる年もありますが、いまだに免除されています。おそらく今年も払えないでしょう。実は日本企業の7割くらいは今でも法人税を払える状態にない。まあ、昨年あたりから払える企業が増えているようですが。その辺、法人税は元々けっこう融通の効く制度になっています。実のところ、中小企業は法人税率をあまり気にしていません。むしろ法人税が払える状態になると喜びます。うちの会社は以前からそんな感じ。やった今年は法人税が払えたぞ!社会貢献できた!みたいな。中小では法人税を払えてこそ優良企業、みたいな意識があったりします。中小企業の経営者にとって、実感として苦しいのは社会保険と消費税のようです。

法人税が高いと、企業は内部留保を残そうとしなくなるのでは?

 1980年代以前、日本の法人税はとても高額でした。そのメリットとして当時語られていた話です。法人税が高いと、利益が出てもその分課税されてしまうので、内部留保を残しても企業は面白くない。ゆえに「国に取られるくらいなら自分達で使っちゃおう」というインセンティブになり、設備投資、新製品開発、従業員の賞与アップなど、企業が積極的にカネを使うようになる。よって、法人税は高いと社会は豊かになり、景気浮揚効果もある、法人税が高いのはいいことなのだ、と言われていました。まあまあ、ある程度は先読みできる時代でもあったので、利益を皮算用した上での先行投資や賞与配布をやりやすかった、ということもあります。

 これが1990年代から逆になってくる。最近だと2014年の法人減税の時「法人税安くなる分、従業員に還元できる」なんて、政治家やら経団連の偉い人やらが言ってたけど、これはウソ。給与払った後の、純粋な企業利益の方に税金がかかるんだから。給与アップと法人税はなんの関係もない。なんでマスコミはツッコまない?いい加減にしろ。


1990年代以降は法人税を下げてきたため、以下のような問題が起こっていると考えられます。

法人税が安いと企業は内部留保を残そうとする。或いはできるだけカネを貯めておきたいがために、法人税減税を望んでいる(と思う)

 現在の日本の状態。日本に限りません。日米韓の上場企業はこういう循環に入っているところが多い。これは株主還元を意識するためです。内部留保を残して株主配当を高くする、自社株買いで株価を吊り上げる、などの用途に回されるようになります。株主配当・留保額は法人課税確定後の余剰金なので、法人税率はとても重要なのです。特にアメリカや韓国でよくあるのですが、雇われの社長や役員がストックオプションを所持しているケースでは、自社の株価や配当が自身の報酬に大きく反映されますので、とにかく経営陣が株価を吊り上げたがる。で、自社株買いや高額配当に走る。その分、従業員削減、給与削減、派遣社員ばかりになる等、労働者はないがしろにされる。


 ストックオプション抜きにしても、21世紀以降は株主優遇の傾向が非常に強くなり、特に大企業は株主を恐れている。企業が内部留保を残したがるようになったのは、株主の機嫌を損ねると自社にダメージが返ってくる、という恐れがあるため。業績があまり良くなかった場合でも、株主還元できるような余剰資金を持っておきたい、という面が強くあるのではないか。また、TOB対策資金、なんてのもあるのかもしれません。


法人税の減税は、企業優遇策ではなく、株主優遇策なのです。



 とまあ、そんなところです。それっぽく私の意見を述べてみましたが。私自身は税制や企業経営の仕組みとかに詳しいわけではないので、残念ながらここに書いたことが、どのくらい妥当なのかは分かりません。私の見立てには何か見落としや欠陥があって、お話にならないようなことなのかもしれません。


 日頃はこういう、リスキーで隙のありそうなことは書かないようにしているのですが、にもかかわらずこんな意見を開陳いたしましたのは、tyoshikiさんの、議論に対する真摯な姿勢、有益で発展性のある意見交換を心掛けている、というところに感銘を受けまして、それにあてられた感じ。なんかクサいこと書いてすみませんが。マジでそう思ったので。


さて、もうとっくに四千字を超えていますが、実はここからが本題です!

 共通点のある論旨で言及記事を書いたtyoshikiさんと私。ああそれなのに。tyoshikiさんの方はご本人からお礼コメント付きブクマ、うちの方はスルーされてしまった。読まれたのかもわからない……まあ、読んでるんだろうとは思うけれど……く、くやしい……


まあ、残念ではありますが。想定どおりでもあります。
ウチは多分スルーだろうな、とは思っていました。


 理由はきっと簡単で、tyoshikiさんはニャートさんの記事に対して、ちょっと釘差しつつも前向きに発展性のあるかたちで意見を述べている。対して私は、とにかく論破してやろうとやっきになっています。スルーされて当然です。


でも私は、tyoshikiさんが正しくて、私のやり方が間違っていた、とは全く思っていません。

議論など必要ない、とにかくコイツはいったん黙らせた方がいい、と考えていました。


(もういい加減長いので、次回にします)


※前回記事
fnoithunder.hatenablog.com