反論に反論しますに反論というか議論の見方

plagmaticjam.hatenablog.com


 私にとってはなかなか愉快な記事でした。plagmaticjamさんは、私が「文章化したいんだけど力量不足で出来ずにいる領域」にどんどん切り込んでいくので、そこにシビれるあこがれるゥというか無茶しやがってこのやろうというかそんな感じです。
 
 300近くブクマされているけど、私のようなスタンスで読み取った人は10人もいないようだ。ちゃんと読み取った上での批判てのも1割程度だろうか。残念ながら8割がたが誤読しているんじゃないか。

 大半に誤読されてしまったなら、それは書き方にマズい点が色々あった可能性が高い。ご本人も、表現としての今後の課題について考え、噛みしめていることと思います。ので、私はここでは論説への具体的なツッコミポイントについては触れないことにします。あんまり知ってるネタでもないし。


 気になったのは、パラダイムの違いと認識。この辺の「共通了解」がある者同士での議論であったなら、本件は示唆に富んだ面白い話と解釈されたと思う。たとえ意見が違っていたとしても。ブクマにもそういう人が何人かは見受けられたし。ヘンなところや隙のある部分は、議論の流れの中で十分に補正され、摺り合わせが可能な範疇であると。アウフヘーベンというやつだね。そういえば最近「アウフヘーベン」言ってたの小池さんだったな。すっかり忘れてた。「排除」とは真逆じゃん。
 
 んでこの「共通了解」がない人にとっては、話題そらしや論理のすり替えのような「詭弁術」に見えてしまった、という辺りが問題だった。この認識の違い、敷居をどうやって乗り越えるか、乗り越えてもらうか。こういうの例えばkyoumoeさんは、言葉を尽くして説明してたりしてるね。私は正直、諦めちゃってるな。このブログも、分かる人だけに読んでもらえる、そうでない人は立ち去りたくなるような工夫をしてしまっている。その辺、自省の意味も含め書いてみようと思った次第。なんだが。



 「夫婦別姓」はフェミ要素を含んだ、可燃性の高い案件だ。気をつけねば。


 ああ、私そういや元の記事を読んでなかったんだ。ブクマ1000越えの勢いだったので、あ、クソ記事かなと思って、ひとまずブクマだけのぞきに行ったんだ。んだら、

「共感する」
「全面的に賛同」
「応援してます」
「頑張って下さい」
 
……案の定。そっ閉じ。


なので今回の記事を書くに当たって、改めてちゃんと読んでみた。

goo.gl


 青野さんは「夫婦同姓であることで被害を被った」ってんで国に対して損害賠償を求める裁判をするという。担当の弁護士さんのブログへもリンク張ってある。弁護士さんの方は短いブログ記事ではあるものの「選択的夫婦別姓」について想定される懸念事項についてきちんと説明をされていて、別姓懐疑派や反対派からも了解を得られるように努めている。ディスカッションのたぐい、なので好感が持てる、というか、まあ普通、なんですけど。
 
 ご本人の方は……なんというか、夫婦別姓に対して仰るような「反論」がある、というのは分かったけど、出所は分からんし分かるようになってないし、「反対意見」をバカっぽい感じでさらし上げ、ぶっ叩いて爽快な気分で正義感に浸ろうキャンペーン?くらいにしか見えなかった。弁護士さんと違ってあまり建設的な話ではない。
 
こう言っちゃなんだが……いわゆる「B層マーケティング」のたぐいにしか見えん。
 
 政治家で言うなら小泉氏、橋下氏、小池氏のマーケティングスタイルと同じ。分かりやすい「敵」やら「悪」を設定してぶっ叩くだけのカンタンなお仕事。「抵抗勢力」「平松前市長」「都議会のドン」とか。特にM.フリードマン的な「新自由主義」の政策関連はB層マーケティングと相性がよいらしい。*1

B層 - Wikipedia

B層マーケティングの元祖である2005年当時の解説。現在では進化・変化していると思われる)


 こういうやり方だと、たとえ結果的に良い方向に進んだとしてもねえ。内容によっては後に歪みが出るとか、禍根が残るだとか、なんかそういうこと言いたくなるのも分かるんだよな。まあ「選択的夫婦別姓」がそんなに問題を起こす気もしないけれど。平等とか分配の話であったら、誰かしらの「既得権」になるわけだし、できるだけ多くの人に納得してもらえるように努めるのが筋よし。


 そういう意味では、あんまり褒められた論説展開ではないよな。plagmaticjamさんはこんなんがチヤホヤされてたことに違和感や義憤を感じたんかな、とは思いました。
 
 しかし、これにリンク張って「反論します」となると、いわゆるその、選ばれし「そういう層」に向かって議論を挑むことになってしまう、のかもしれないので。「反論」の展開に強引さや隙もあったせいか、あちらの記事の攻撃性にそのまま乗っかったような、頭ごなしの叩き展開がブクマの主流になってしまったのかな。


 悲しいことに、私は有用な対策を知らない。誰も持っていないのかもしれない。残念なことに、強靱化の師匠である藤井聡さんも「議論は不可能」と仰っていて、その上でどうやって戦うか、という論説を展開されている……




 これ、日本が欧米の自由主義や民主主義の上っ面をマネてるだけだから、なんかますます変なことになってるんじゃないか、というアイデアを持っているのですが、またしてもまだ書ける状態じゃないな。マッカーサーの言う「日本は12歳の少年」ってやつ。西部邁さんのいう欧米の「ダブルタン」とか。平等への「後ろめたさ」の放棄とか。日本が12歳なら、アメリカは30歳、欧州は60歳くらい?


ヒントは書いたのでplagmaticjamさんは是非これの文章化にチャレンジしてみてください、という無茶振りで終わります。いろんな要素がありすぎて、なかなか簡単には書けないよねえ。



*1:って言ってたの、藤井聡さんだったか、芝山佳太さんだったかな