公的固定資本形成

ヤマトの諸君!

 「ドリル」と言えば「ドメル将軍」の「ドリルミサイル」! って、わかる人は四十歳以上でしょうか。もう少し上かなあ?どにかく、ドメル将軍以上のドリルマニア、ドリルが好き高じてついに自身がドリルとなってしまった、安倍首相の凄まじいドリル攻撃を受け、近頃、保守論壇はすっかり傷つき、意気消沈しています。わたしが最近注目している、ニコニコ生主の「かったん」*1 もお疲れのご様子。そんな保守派の沈んだ空気を吹き飛ばそう!ということで「新日本経済新聞」さんでは、なんと!かえうたRANKING ! が始まってしまう始末です。 ついつい私も投票してしまいました。
 
参考動画:顔色の悪いドメル将軍(ドリルは出てきません)


YAMATO BGM 元祖ヤマトのテーマ - YouTube

(元気の出る、勇ましい曲ですね! 約一分経過のところで「ドリルーピー」ことドメル将軍登場!)

 
 私も確かに、最近は愚痴っぽい記事が多かったし、読者の皆さんも辟易しているやも知れませんね…… ので、じゃあ、いったん基本に立ち返ろう、と思います。ということで、久々に国土強靱化に関するお話。今回は私なりに理解した経済学についてレポートしてみます。まず、私としては、現時点では、日本は今しばらく、ケインズ的な経済政策を進めて行くのがよい、と考えています。ので、そういう話になります。ケインズ理論というのはあくまで不況に対する処方箋、という意味合いが強く、決して長期的にあてにできるわけではありません。でも病気に対しては適切な処置が必要、ということです。
 この話の元ネタは、主に青木泰樹さん、三橋貴明さんから学んだ内容です。青木康樹さんはケインズ学派の第一人者で経済学の教科書「経済学とはなんだろうか」の著者。この辺、最近は結構詳しい方も多いようで、今更な感じもしますが、よくよくご存じの方は、まあまあ、復習もかねてご一読下さい。
 
というわけで、青木さん、三橋さんから学んだ経済の仕組みについて、私なりにオリジナル概略図を作成してみました。

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まあまあ、我ながらよくできた気がするぞ!よくよく見てやって下さい。この図、結構気に入っちゃったので、今後も改変しながら引っ張って使い回す予定です。
注意事項として、左下に配置されている「概念経済」というのは私の造語です。実体経済、金融業務と区別するために明示してみました。決して経済の専門用語ではありませんのでご注意を。
さて今回は図中の①②についてお話ししましょう。

国債発行

 資金調達のために政府は国債発行し、銀行や生保なんかからお金を借ります。銀行や保険会社にあるお金は国民の預金や貯蓄型の保険、年金など。現在は1500兆円ほどある、とのことです。行政府は国民から借金しているのです。つまり政府債務の元は「国民の財産」です。決して「国民の借金」ではありません。財務省の立場で、方便として「国の借金」というような表現をするのは、まあアリなのかもしれません。しかし、大手マスコミが財務省の言い分を、まんま垂れ流しとかいかがなものか。情けない……
 最近では国民一人当たり借金が900万円!だそうで。逆だよ逆!国民の貯金です。日本国全体で見れば預金が1500兆、借金が1000兆です。破産するわけがありませんね。とは言っても借金は借金なんじゃないの?ということで、これでは納得のいく説明になっていないかと思います。確かに事はそんなに単純ではありません。でも日本は、例えばギリシャなんかとは全然違うんだ、と解って頂きたいので、いずれちゃんと説明を試みるつもりです。今回はこれでスルーさせて下さいませ。
 仮に、政府がアメリカからドルで借金、なんて話だと、期日までにきっちりドルで返さないといけないので、結構大変です。こういうケースでは「国民の借金」という言い方をしても、あながち間違ってはいない、と思います。

② 投資・給付

 行政府は①国債や、税金で集めたお金を、行政サービスとして投資したり給付したりします。投資対象は、公務員、土木建築、重厚長大産業あたりが多いのでしょうか。みんな日本経済の構成員であり日本国民です。日本国民が公共サービスを提供しているのですから、国にカネを搾取された!なんてワケではありません。そのお金は必ず日本経済を巡り巡るのです。国民生活安全保障、幸せな暮らしのために必要な公共投資をしてもらえばいいわけです。
 道路・鉄道網を整備することで物流、地域間交流が活発になる。港湾整備することで貿易が活発になる。治山治水することで、国民を自然災害から守ることができる。また、安定して水道水を供給できるようになる。農業土木で農作物がたくさん作れるようになる。漁港を整備すれば漁業が盛んになり、新鮮な魚が市場に並ぶ。

公共事業のディレンマ

 という案配で、公共事業とは民間経済活性化のための呼び水だったり、基礎インフラ整備なんかがメインです。地味なことばかりで、事業単独では利益など出ないケースが殆どです。特に治山治水事業は国民生活・生命を守る為にやっているので、ちゃんとやれば、災害が減少しますので、まあ、目に見えてわかる効果、というほどのものはありません。こういう公共事業は、非常にうまくいけば、当然全くな~んにも起こらなくなります。日照りが続こうが台風が来ようが、断水することもないし、洪水も起きない。停電もしない。崖崩れも起きない。するとそのありがたみを忘れてしまって「公共事業やっても何も変わらないじゃないか!」「あいつら俺たちの税金で無駄なことやってやがる!」など言い出す輩が出てきます。

「コンクリートから人へ」

 むやみやたらと、「公共事業なんてムダだ!やめちまえ!」なんて言って本当にやめてしまうと、結構大変なことになります。というか、もう既に、大変なコトになってきました。自然災害を防げない、被災した後に復旧できない、道路は荒れ放題、橋やトンネルは崩落。公共サービス従事者は失業者になり、地域社会は崩壊。社会不安が増して、治安悪化。とまあいう具合に、最悪まで考えるとそんなことになります。地方ではもうそういう事態が起こりつつあります。「官から民へ」「コンクリートから人へ」ってのはつまり、地域社会、地方行政を衰退させ、過疎化を意図的に加速させる政策だったのです。
 要は程度問題です。確かにやり過ぎはよくありませんが、やるべきは絶対にやる。不要不急は後回し。やらなくてもよさそうならやめておけと。直接的な経済効果、費用対効果、乗数効果だけ見て決めるべきではありません。自然災害や対テロ、被災後の復旧、国民の生活や安全など、幅広く勘案して公共投資の行き先を決めるべきでしょう。


青木泰樹先生の教科書「経済学とは何だろうか」

経済学とは何だろうか―現実との対話

経済学とは何だろうか―現実との対話

*1:「かったん」とは5/18に紹介した「三橋貴明 VS 倉山満」の動画の人です