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政府紙幣はどこへ行った? 無双!倉津浦分校

 ハイエク論の前に、夏休みの宿題をやります。前はこのネタ「強靭化ラジオ!」と言っていたんですけど。「無双!中野学校」が閉校になってしまったので。中野剛志校長が留守の間、勝手に分校を開設し、企画代行してみます!
 
(無双!中野学校ってなに?という方はこちら → 無双!中野学校 - 強靱化のすすめ

ということで、読者の皆さんから質問を頂き、私、ふのい倉津浦が調査、回答する企画です。続きがあるのか怪しいです。

ではまず第一回は!以前の記事のコメント欄で頂きました、暴走若人さんからの質問です!

(id:bousouwakoudo)

公共事業で思うのが、人件費は上がっているのに、国の入札の上限額は上がっていない、と言うことです。
一つの提案ですが、私は政府紙幣を数十兆円発行し、それで公共事業を行えば、人件費の上りにも対応できますし、国民所得も上がるのではないでしょうか?
インフレは、給料上昇が伴わないとスタグフレーションになるので、そういうことを考えてみました。数十兆円程度ではハイパーインフレも起らないとは思いますが、公共事業については負の遺産が詳しいと思いますので、お考えを聞かせてくれないでしょうか?

 
 今回はこの質問にお答えしましょう。色々と調べてみましたよ。
ちなみにですね、質問の終わりの方にある「負の遺産が詳しいと思いますので」の「負の遺産」のところ、皆さん、何のことか、もしかしたらお気付きでない方も、万が一、いらっしゃるかも知れませんので、一応ご説明を。……ちょっと説明するのもアレなんですけどね……私が負の遺産なのです!

私のニックネームとIDが、
「ふのい倉津浦 (id:fnoithunder) 」とまあ、いうことですよ。
fnoithunder → フノイサンダー → 負の遺産だー!!
そうだったのか、ふのいさん……
 
 なんて話はさておきですね。まず、公共調達のお話、なんか最近いつも紹介してますけど、藤井聡教授の動画に、色々と答えが出てきます。

未見の方は、こちらを。
 

藤井聡「「談合」は、悪なのか?」(土木を語る 第7回) - YouTube
 
 まず問題なのが公共調達の予定価格の低下。1990年代以降、「一般競争入札」導入の結果、ダンピング、手抜き工事なんかが増えてしまったわけですね。予定価格は、過去の落札実績を考慮して算定されますので、ダンピングによりデフレ圧力が掛かり、下がってしまった、という面があるようです。悪貨が良貨を駆逐する。まともな業者が馬鹿を見る。恐るべし、構造改革
 藤井先生のお話にあるように、2014年6月の「品確法」改訂により、その辺ようやく見直しが始まったようです。

政府紙幣

 五年前とか十年前とか、なんか度々政府紙幣の話って出てたような。ちょっと Wikipedia見てみました。色んな人が言ってるんですね。2003年にはなんとスティグリッツ教授までもが日本にそんな提言をしていたとか。これ、「財政赤字」の解消策、的な意味での提案だったようですね。

政府紙幣 - Wikipedia

 これは私の推測になりますが、1997年に日銀法が改正され、「中央銀行の独立性」というのがやたら強調されるようになったことと関係があるのではないか、という気もします。日銀が強くなった、ということは相対的に政府の権限が弱くなってしまったので、仕方ないから政府独自の紙幣でやるしかないか、みたいな。この日銀法改正で、政府が金融政策に口出ししにくくなりました。構造改革の一環なので、自縄自縛なんですけどね。あ!これこそ!あれですよ!マンデル先生の計画通り!なのです。(aa略

手配師主導だろ……

 いやしかし、小泉内閣や安倍内閣は、結構金融やってるじゃない?「これこそが政治主導だ!」なんて言ってましたが、嘘はいけませんよ岸博幸さん。逆だよ逆!「なんとかうんたら会議」だとか、いっぱい出来ましたよね。某人材派遣会社パソナ会長を始めとした、「政治」とは無関係なはずの大企業の幹部がたくさん入っています。
 
 「政治」の権限を弱めてブルジョワが権力を奪う、という「改革メニュー」の一環です。フランス革命と同じですな。王政府から権力を奪うのが、現代は国民国家政府から奪う、に変わったということです。「小さな政府」とはそういうことです。この話の詳細はまたいずれ。

 話を元に戻しますと、これって、リーマンショックの影響なのか、流れが変わりましたね。とにかくフツーのお金を刷りまくれって。これ日本は出遅れて、白川日銀総裁、随分叩かれましたね。まあ、白川総裁時代も、金融緩和はそれなりには、やってたんですけど。

量的緩和に落ち着く

 現時点では「量的金融緩和」で中央銀行国債回収していますね。これ、事実上の「借金棒引き」のような状態です。これでとりあえず「政府紙幣」という話は出て来なくなったようです。やってることは政府紙幣の発想と変わらない。黙っていれば、まあマスコミもなんだかよく解っていないようだし。政府紙幣よりはオーソドックスな手法に落ち着いたというところでしょうか。

日銀当座預金とは何だろうか

 但し、この緩和で出てきた100兆ものお金、殆ど使われずに「日銀当座預金」に残っています。これ、特例として現在は利息が付いちゃうから残しておいても問題ないんです。民間銀行にとっては。
 「日銀当座預金」って本来は、民間銀行を運営するための「最低限度の担保」というか「保証金」というか。「人質」ならぬ「金質」です。つまり、無闇に貸し出しし過ぎないよう、最低限これだけは残しておけよ、っていう、使ってはいけない「法定準備金」を置いておくものです。当然日銀もこのお金に手を付けたり出来ません。つまりなんの価値も生み出さないお金として凍結された状態になるわけです。

無価値なのに利子が付く

 なんの価値も生み出さないお金に利子を付ける。あり得ないというか、本来は不可能なはずなんですけどね。しかし、そうでもしないと日銀が国債回収できない。銀行にとっては国債だろうが日銀当座預金だろうが、利息が付くなら銀行商売が成立するし同じことなのでどっちでもいい。四年未満の短期国債なら、むしろ日銀当座預金の方が金利が高い、という。

 なんだかおかしなことをやってますね。まあ、ゼロ利子にすれば銀行も無理矢理貸出先を探すでしょうが、不動産や株・先物に回るとバブルになるし、実際そこにしか行かないでしょう。こういう資産インフレは、いずれ確実に不良債権化します。誰かがババを引かねばなりません。これがいわゆる「自己責任」なんですが、「自己責任」って実は誰も責任取らないので、結局は政府が尻ぬぐいをさせられます。だったら日銀当座預金のまま、の方が国民にとってもマシですね。
 
……じゃあ金融緩和って、いったいどんな意味があるの……?
 
 いやだから、そうじゃなくて!そこで暴走若人さんですよ!
 
 暴走若人さんが提案するように、こういうお金を政府支出として使えば、実体経済にお金が回るようになるわけで。暴走若人さんは、国民所得を上げる、ということを念頭に考えていらっしゃるようです。この辺、三橋貴明氏や産経の田村秀男氏も、同様のことを仰っていました。
 国民経済を豊かにするには、所得の向上!これが基本であり、国民国家の政治目的の最たるものでしょう。国民所得が増えれば当然税収も増えるし、お金が回ってインフレ傾向になれば、「貯金しておくと損だ」ってことにもなって、滞留し、眠っていたお金が動き出す。お金が回れば銀行だって商売繁盛だし、いいことずくめじゃないですか!

 しかし現総理大臣、口では「所得アップ」と言ってますが、実はこのことをよく解っていません。総理はぜひこの、政治家志望の若人を見習って頂きたい。いやマジで。

 解っていないのだ、と思いたい。もし解っているなら、国民に対して悪意があることになってしまいます。
 
 実のところ、現政権が目指しているのは「国民所得の向上」では無く「競争力の向上」です。
 この二つは両立が難しい、というよりも相反する、と言うべきでしょうね。

う~ん、だいぶ長くなってきたので、……次々回かなあ。