無双!中野学校

 いやー、困りましたよ。以下のリンク、見て下さいよ。

中野剛志/無双!中野学校「運営部よりお知らせ」 - ちょくマガ|KADOKAWA

 最終回ですよ。閉校ですよ。ふのい倉津浦、茫然自失ぅ~! *1

 以前の記事でも何度か紹介していますが、中野剛志さんは私にとっては保守思想のお師匠さんでして、まあ、それはともかく、経済産業省のお役人さんです。 2010年から2年間ほど京都大学の大学院に出向されていました。その出向が終了になって2012年7月からは、諸事情によりどうも閑職にあてがわれた?らしく、「干さ」れた「官」僚、で、すなわち「経産省の中野ホサ官」、なんてネタをご自身で?仰っていました。まあ、そのおかげ、なのかは、わかりませんが、毎週メルマガ記事を書いたり、雑誌に論説を寄稿したり、書籍を出版したりなど、現役官僚でありながらも精力的に言論活動をされていました。昨年出版された著書、「保守とは何だろうか」は、まさに「保守主義」の教科書です。

 しかし、それがどうも、この7月からは、なにか人事異動でもあったのでしょうか、そういった言論活動にあまり時間が取れなくなってしまうようで、毎週メルマガ記事を発行することができなくなってしまったみたいです。
 
 7/11の記事はどなたでもご覧になれますので、見てみて下さいよ。「7/27まで新規購読お申し込みが可能」って書いてあるんです。7/22が最終回だったのに。もう過ぎてるんですけど、どういうことなんでしょう? どうやら不定期ながら、なにか続きがあるっぽいです。興味のございます方は、是非今日中に購読のお申し込みを。って、最終回過ぎてから宣伝するのも、なんだかなあ。

今更、メルマガの紹介

 このメルマガ、月四通、火曜日に送られて来ます。第五火曜はお休み。で、500円/月(税抜)。これは、正直ちょっと悩みました。単純計算で、メルマガ六通分で新書版の本が買える、とか思うと、なんか割高な気がしたりして。まあでも、時事ネタについて中野校長が毎週解説してくれるって訳だし、毎月一回は質問コーナーってのもあるし、本とは違う面白さってのもありそうだ、なんて考え、購読してみることにしました。
 で、質問メールも出してみたりして。すると二月末のメルマガに「fnoithunderさんの質問」なんて書いてあったんですよ!オレの書いた文章を、あの中野剛志さんが、マジで読んでいるのか!しかもこんな丁寧に、真剣に解説してくれている!言葉の選び方なんかも絶妙なもんでして、オレの昂揚最大化!なんて喜んでしまいました。ここで内容を紹介できないのが残念です。
 そして当ブログでも好評だった(に違いない!)中野学校宿題シリーズ。今まで中野先生から教わってきた理論をベースに、他では見られないような、独自視点からの論説を展開することができたのではないか、と自負しております。その割には反省文とか書いてたじゃないか、なんてツッコミはさておいて。

中野学校宿題シリーズ:未読の方はこちら)
出題編:Mission Impossible(予告) - 強靱化のすすめ
回答1:Group of Seven - 強靱化のすすめ
回答2:プーチン vs オバマ - 強靱化のすすめ
回答3:共和党 vs 民主党 - 強靱化のすすめ
反省文:反省の弁 - 強靱化のすすめ
補習1:ケインズが封じ込めたもの - 強靱化のすすめ
補習2:歴史は繰り返す - 強靱化のすすめ

「俺と親父のトンデモ議論」の元ネタ

 続いては、中野師匠[要出典]の動画のご紹介。実はこの動画を紹介するための布石として前回、今更ではありますがあえて震災復興の「俺と親父のトンデモ議論」をアップしました。

 この動画、三時間もの討論のダイジェストです。2011年の大晦日のもの。どうか、最初の五分だけでも見て欲しい(でも、できれば3本とも全て見て頂きたいです)。当時は民主党政権ですが、冒頭から2分20秒くらいまでのお話は、実はそのまんま現在にも当てはまっています。ので、よ~く聞いてみて下さい。現在の安倍政権。今から5年前に発足した民主党政権。10年前の小泉政権。17年前の橋本政権。ちっとも進歩していない、というより劣化し続けています。民主党だけがダメだった、なんて考えは捨ててください。
 
 続いてその後~4:50くらいまでのお話が震災復興について。実はここでのお話を、「俺と親父のトンデモ議論」というレトリックで表現したのが前回の記事です。書き方は違いますけど、実は殆ど同じ内容の話です。

 当時、私はこのテの議論を現実で何度もしたことがあります。例えば、被災した「漁師の俺」を救済するための財源の話。具体的にどうするのか、テクニカルな話としては、例えば「20年もの復興債」を30兆円発行して、民間銀行が引き受けきれないなら日銀買い取りだって構わないだろう、とにかく復興最優先だ、というようなことです。しかし結局「俺と親父のトンデモ議論」に出てくる、財源なんて重要じゃないんだ、ということを議論相手に納得させることは、一度たりともできませんでした。

 これに対しての反論は、「そんなのインチキだ」「そんなことをしたら日本円の価値が失墜する」「借金だらけなんだからそんなの無理だ」「復興税以外に方法はない」「子孫の代に負の遺産を残すわけにはいかない」といったようなもの。つまり「俺と親父のトンデモ議論」の親父と同じ主張です。私が議論した相手は決して財務省ではありません。普通の日本国民です。特に日経新聞朝日新聞を真面目に読んでいる人は、全くお話になりませんでした。おそらく、中日・東京・北海道新聞読者にも、全く歯が立たないでしょうね。特に私より年上の人。
 当時の私はマクロ経済というものが、まだまだ腑に落ちるほど理解できていなかった、というのはあります。しかし、現時点でも説得は不可能でしょう。ここで重要なのは、政治家や財務省経産省の主張と、多くの一般国民の主張が、結局は一致している、ということです。
 このテの話の出所は、確かに財務省です。それを大手マスコミがそのまんま垂れ流し、拡散し、大衆読者が鵜呑みにしている。財務省が強いのは確かでしょう。でもその、財務省と同じ主張をしている大衆が「政治家は腰抜けばかり、財務省の言いなりだ」なんて批判しているんです。いやいや、あんた自身が財務省の言いなりなんですけど。

 つまり財務省が日本人を洗脳している諸悪の根源、などと考えるべきではなくて、要するに財務省の主張は、日本人の感性によくマッチしているんだと思います。
 
 この話をしなければならない相手は、主に私より年上の世代、同世代の方々ですけど。実際、中野師匠の後に発言している、日下公人氏、高山正之氏の主張とは、まさに中野師匠が冒頭で仰っているところの「現代のダメな日本人」そのものです。中野さんがこのお二人を論破するのは簡単なようですが、しかし、説得するとなると……永久に不可能かも知れませんね。 実際私は左右問わず、リアル世界で誰かを説得できた試しが殆どありません。
 
 民主支持の左派大衆は「自民党、官僚が悪い」と言います。自民支持の右派大衆は「マスコミ、特定外国人が悪い」と言います。そして双方とも既得権益が悪いと言います。政治家・官僚・マスコミ・特定外国人・既得権益。悪を倒してめでたしめでたし、日本大復活!って。結局左右どちらも、そんな程度の規範、ストーリーしかない。

日本に巣くう悪魔

 安倍首相が言うところの「日本経済に巣くう悪魔」。「既得権益」という岩盤をドリルで破壊し、悪い悪魔をやっつければ日本は復活する、と(いまだに)そんな主張しています。2009年だってそう。自民党をぶっ潰せば日本は復活するって。10年前も15年前も同じ。生贄を探してはぶっ叩き続け、20年やっても、ちっともめでたしにならない。おかしい、まだ足りないまだ足りないまだ足りない、こんなはずではない、日本民族は優秀なんだ!と未だ構造改革に邁進し続ける日本。

 日本人は優秀な民族なんだ、というのは本当なのでしょうか。


*1:「茫然自失!」というと、かつて古舘伊知郎氏がフジテレビでF1GPの実況をやっていた頃、よく言ってたんですよ。マシントラブルとかでリタイア確定すると「セナ、ぼーぜんじしつぅーー!!」とか。またもや四半世紀前のネタ。