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墓穴

 ↑↑「Strategy」タグの時は、普段やっている政治や経済のネタではなく、個人的なブログ戦略や方針、みたいな話です。ので、すみませんが、前回の続きは次回以降に持ち越しです。楽しみにされていた方がいたら、申し訳ありません。一応次回への布石にもなっている話です。ので、せっかくなので読んでやって下さい。あしからずご了承くださいませ。

最近私が非常に気になったブログ記事の話からです。
 
不毛な「競争社会のレール」からさっさと降りてしまいたい - ゆーすとの日記
特に何があったわけでもないけれど、久しぶりにとりあえず書きます。 - パンダのぼやき
大人と子供の消滅☆ニュータイプとスターチャイルドは生まれるか - 静夏堂
サブカル批評もどきその2・パート1 - フリーター修士の研究日誌
 
 全部読むと結構大変ですよね。すみません。でも、私と同年代の方くらいの方、つまり昭和四十年代生まれくらいの方がいたら、是非、ひととおり読んで頂ければと思います。今すぐでなくても構いませんので。現代の若い世代がどんな思いでいるのかを知って欲しいのです。この辺の世代の方々からすれば、私達の世代は「大人」です。今回は「大人」や「老人」が「若者」からどう見えているのか、まあつまり、③の静夏堂さんの話を、大人の立場からちゃんと考えてみよう、ということです。
 
 私がブログを始めてまだ半年足らず。私はこれまで「個人ブログ」というものをあまり読んだことがありませんでした。実際に自分でブログを始めると、同時に多くのブロガーさんの記事を読むようになりました。私同様に社会科学関連や政治思想の他、哲学、集団心理や個人の心理を深く掘り下げたりなど、そのレベルの高さに驚かされることが多々あります。結論ありきで、いい加減な印象操作ばかりの新聞社説なんかよりも、ずっと読み応えがあります。はてなブログを見ていると、ハタチくらいからブログを始めてみたという方、結構多いようです。

 ①のゆーすとさん、②のパンダさん、③の静夏堂さんと、皆さん'90年代生まれの方々です。近現代社会について一言で「競争社会」と言ってしまうと、その点は私がハタチだった頃と今と変わっていない、ので、表面的には起こっていることもそう変わらなく見える。でも実際には、社会が個人の安定を顧みなくなり、雇用は不安定化し、しかも今後は高齢社会で、日本は成長どころか衰退していくばかり。将来の希望は見えない。個人差はあるでしょうが、軽く失望、或いは絶望を感じたりしている。

その辺の気持ちを代弁すべく、歌にしたのがこれ。


墓穴 あべりょう ナパーム弾 - YouTube

私が最初に見たのは、この歌自体のプロモーションCMで、Youtubeに行ったら勝手に始まりました。つい聞き入ってしまって、結構な衝撃を受けました。

 私、パンダさんの薦めで、神野直彦氏の「分かち合いの経済学」という本を読みました。タイトルや目次、序章からちょっと読んだ辺りでは「これは現代日本の問題点を指摘しつつ、スウェーデンなど北欧の福祉重視型の経済モデルを提案する本なのかな」と思っていました。
 実際のところ、本編ではいわゆる「新自由主義改革の批判」が中心でした。サッチャーレーガン構造改革批判、中核の経済思想を担うM.フリードマン(Milton Friedman)への批判。そしてフリードマン式の政策を徹底推進する小泉・竹中構造改革への怒り。内容的には私が以前に読んでいた、柴山桂太氏著「静かなる大恐慌」と共通する部分はありました。
両者の違いとして、柴山さんの方は、冷静に歴史やデータを分析し、分かりやすく現代世界の問題を読み解く、といったような感じでした。対して神野さんは、本当に「怒り」と「悲しみ」が文面からあふれ出ています。読んでいて、少々辛くなるところがありました。
 パンダさんは、記事を見たところでは色々と前向きに考えていらっしゃるようですが、神野さんが指摘しているような、現代政治の問題を全て承知の上で、と思うと、その強靭さに頭が下がる思いです。

現実と物語

 ④のfreetermasterさんは、サブカル批評の記事です。冒頭は「サブカル批評」批評のようになっていて「ゼロ年代は、不毛なバトルロイヤルの時代」と紹介されています。そして今回紹介された物語は「暗殺教室」。私は宇野常寛氏の著書を読んでいないので、「決断主義」という言葉のニュアンスが、はっきりとはわからないのですが、どうやらこの物語は、無責任な大人達から子供達が「不条理」を突きつけられる。子供達はその避けようのない、ひどい不条理と共存しつつも成長していく、という話のようです。やはり地球の存亡がかかっているし、否応なく「決断」を要求されてしまう、ということでしょうか。大変興味がわいたので、私も読んでみようと思いました。

 私もちょうど最近、佐藤健志氏の著書、サブカルから現代を読み解こう、という趣旨の「震災ゴジラ!」を読んだばかりです。驚いたことには、その佐藤氏とfreetermasterさんの物語分析では、共通する点が結構見られるのです。

 佐藤氏が日本のレジームを読み解くに当たってのチョイスのひとつは、はまさに「バトルロワイヤル」でした。どうもこれは偶然ではないように思います。「バトルロワイヤル」は大人が「子供同士に殺し合いをさせる」という、とんでもない話です。まさに究極の「不毛なバトルロイヤル」そのものです。その他にメジャーな作品としては、宮崎駿氏の「千と千尋の神隠し」「崖の上のポニョ」が取り上げられていました。いずれの作品も、親世代が子世代に不条理を押しつける、という点で共通しています。「バトルロワイヤル」では、親側の理不尽さが浮き彫りにされていますが、宮崎駿作品ではそれがありません。「千と千尋」では子が親を助けたのに、親は全然それに気付かず、スルーされています。「ポニョ」もしかり。幼い子供の目線にすり替えてしまうことで、親世代の理不尽さを見えなくする、或いは子世代が事実上、その理不尽を無意識レベルで容認してしまっており、あまつさえ親世代を救済さえしている、という図式があります。これを露骨に、皮肉な歌にしたのが「墓穴」ではないでしょうか。ある意味「ポニョ」と「墓穴」は同じです。そして「暗殺教室」も、もしかしたらそうなのかも知れません。(まだ読んでいませんが)

チープな物語

「墓穴」に出てくるのは「若者」と「老人」。私自身はこの中間の世代です。私達の世代は、この現実を分かっているのでしょうか。
かつての民主党政権を支持していたのは、まさに今、老人化しつつある「団塊世代」が中心でしょう。民主党の掲げた「マニフェスト」とは大変に安っぽい「物語」でした。政権交代後、僅か数ヶ月で崩壊を始めたのは当然と言えるでしょう。なぜ私達の親世代はそんな安っぽい「物語」を本気で信じたのか。まあ、私の親は「団塊」よりも少し上ですが「マニフェスト」を信じていたようです。対して今の自民党政権を支持しているのは、その子供世代。今現在は40代の「団塊ジュニア世代」が中心でしょう。決して「若者世代」ではありません。
 その自民党安倍政権」はどうなのか。今のところ、親世代の「民主党」よりはうまくやっているように見えます。支持要因といえば、隣国に対する厳しい態度、憲法を含めた安全保障の問題、NHK改革、株価(より厳密には多分「日経平均株価指数」)などでしょうか。

 しかし、果たして若者が現実に直面し、不安、或いは不服に感じているであろう「雇用不安定化」「貧困」「高齢社会での負担」等にちゃんと向き合っているでしょうか。とてもそうは思えない。その辺はいつも「自己責任」ばかりで全く真剣に取り組もうとはしない。結果として若者に「墓穴」を掘らせている、という可能性について考えたことがあるのか。

団塊ジュニア世代のサブカル

 私が「ジャンプ」や「マガジン」を愛読していたのは二十年以上前になります。当時人気があったのは「北斗の拳」「キン肉マン」「キャプテン翼」「魁!男塾」「ドラゴンボール」などでしょうか。ジャンプのキーワードと言えば「友情」「努力」「勝利」。安倍政権を支持している世代の「物語」ってその当時のジャンプ水準なのでは?という気がしてしまっています。例えば……
 安倍総理ケンシロウ、麻生副総理=トキ。で、アメリカ大統領=ラオウにしたいんだけど、オバマ大統領がヘタレなので、次の共和党のヤツが真の大統領になってくれる、みたいな。「強敵」と書いて「とも」と読む。で、安倍首相が靖国参拝すると中国が「ひでぶ!」韓国は「安倍氏!」とか言いながら爆発するとか。まあ、私の即席な思いつきですが、これはこれで安っぽい物語ですね。
 2ちゃんねるユーザーの平均年齢は四十歳程度だそうで。まさに団塊ジュニア世代です。文章は三行以上読む気がしない。人の話は三分以上聞けない。そんな大人になってしまっていないでしょうか。まあ、そんな人が私のブログなどに来るわけありませんけど。
 
 日本は美しい国だとか素晴らしいだとか勤勉で優れた民族だとか。言ったり思ったりするのは、まあいいでしょう。でもそれは単に「我々の先祖が立派だった」というだけに過ぎないのではないでしょうか。先祖代々受け継いできた立派な遺産をただ自慢しても、大して意味はありません。その遺産をただ食いつぶした挙げ句、若者には墓穴を掘らせて、自分たちを支えさせる。そんな大人になってはいないか。

 「自由主義」の名のもと、黙って放置し続ければ「日本」はどんどん失われていきます。「日本は素晴らしい」と言うのなら、私達は、その日本の「規範」を守り、育て、より昇華させ、そして子々孫々に引き継いでいかなければなりません。それが「保守」という思想です。日本の「現状」は全く素晴らしくありません。「規範」は素晴らしかったのかも知れませんが。我々は、若者世代に「頼りになる先輩方だ」と思ってもらえるようにならなければ「素晴らしい日本」は失われてしまうのです。そんな「美しく素晴らしい日本」て、今現在、どの程度残っているというのでしょう。本当に残っているのでしょうか。もし残っていたとしても、誰かがそれをドリルで破壊しようとしている、なんてことはないでしょうか。
 
 

一応次回への布石

 安倍さんと麻生さん、盟友のように言われているので、上の例では「ケンシロウ」と「トキ」に準えてみましたが、実際のところはどうなのかよく知りません。まあ、私が思うには、そうですね、1980年代のジャンプに準えるなら「ディオ」と「ブラフォード」ってところじゃあないでしょうか。というわけで、次回はゾンビ黒騎士ブラフォードのお話です。だと思います、多分。


※ もしかして、「そんな1980年代のジャンプとか、オレの生まれる前の話をされても解らん……」という人の方が多いでしょうか……?


パンダ師匠のオススメ

「分かち合い」の経済学 (岩波新書)

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freetermasterさんのオススメ

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ふのい倉津浦のオススメ

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