雨上がりのバットマン
① 恋は雨上がりのように
前に言ってた件。アニメ版だけでは飽き足らず、映画も確認してきてしまった。う~ん、これは……やばい。例のtogetterの人の言ってたこともちょっと分かる気がしてしまった。確かにポリティカリーにコレクトリーかも……ただ、元ネタのtogetterやブックマークページはリンクやめておきます。どっちも物語と関係ない、つまらない脱線がメインなので。
アニメも映画もほぼ同じです。尺に合わせて端折ったりとか。ちょっとしたアレンジやアドリブ改編はありますが、肝心な部分は全く同じになってる。原作は未読なんですが、どちらもわりと原作に忠実にやってるんだろう。原作知ってる人も知らない人も楽しめる感じになってると思う。
まずアニメ版おさらい
とにかく中年のファミレス店長の描写が妙にリアルなところに惹かれてしまった。よくできてる。これ原作者女性だったよなあ、と確認してしまった。で、アニメ版では、必ずしも店長はコレクトリーではない。中年なりの迷いやら葛藤やらも大いに描かれている。小説を書くことに対して「筆に毒を込めたい」「毒を描きたい」みたいなことを言ってたし、友人に対しても決して素直ではなく、毒をはいたりしてる。
に対して、主人公の橘あきらの方。店長への一途な恋心だけが描かれている。基本それだけなのが、なんか不満が残るところ。物語の軸として、部活動での「走る」ということへの執着、そして親友との確執があって。店長への恋は本物なの?代償行為ではないの?といったところもテーマだったと思うんだけれど。「走る」と「親友」のところはなんだかいつも受け身な感じで、あんまり描かれていない。ので、なんとなく薄味というか、物足りなさがあるんだよな。無闇に乙女心に立ち入らず、あえて、あからさまには描かない距離感、というのもアリなのかな、という印象も。
この辺が映画版ではどうなってるんだろう、というのを確認したかった。
映画版では
あきらに関しては同じ。同じ描き方。なんだけれど。演者の小松菜奈さんに存在感がある。たたずまいに説得力ある。そこにいるだけでなんだか力を感じてしまう。なんかスゴいなこの人(語彙不足)。絶賛する人がいるのも分かる気がした。別に演技がうまいわけでもないんだがな。なんだろうこれ。
対して店長の方がな。「枯れた中年」の悲哀をはじめ、悩みや葛藤はそれほど描かれず。完成度の高い「乙な中年」っぽく描かれてるかな。確かにポリティカリーにコレクトリーになってる。アニメ版ではカッコ良くて説得力のあった、あきらに対するセリフが、何となく空々しく感じてしまった。同じセリフなのに。不思議。背景の無いセリフになっちゃってる。独特のリアリティが減って「正しい大人」化してしまった感あり。大泉洋さんといえば演技力には定評のある人なのに。毒のある演技も出来るのに。なんかもったいないな。
まとめ
アニメ版:店長はスゴくイイ!けど、あきらが物足りない感じ
映画版:あきらはスゴくイイ!けど、店長がちょっと残念な感じに
比較検証したかったので違いを強調してしまいましたが。おんなじお話ですので「違いを確認してやる!」みたいな意識を持ってなければ、そこまで気にならない程度のような気がする。
私はアニメ版の方が好きですが、映画版の小松菜奈さん非常に良かったし店長も「コレクトリー」なんていうと揶揄しすぎでして、ラストのまとめ方も良かったと思います。漫画版も確認するかな……
② ニンジャバットマン
個人的に勝手にhagexさんを弔おう、と思って、じゃあhagexさんがお勧めしてたっていう、ニンジャバットマンを観ておこうと思い立った。けれどなかなか都合がつかず、立川極爆上映には間に合わず。川崎Live Zound版も終了。仕方ないので川崎で通常版を観た。ググってみれば分かるんですがあんまり評判高くなく、もうだいたい上映は終わっちゃってますね。
っつうかさ、アメコミのくせに中世日本に介入するなんて日本の「文化盗用」してませんか?いや違った、これ日本人が創ってるんだったか、じゃあ、日本人のくせにアメコミを持ち込むとかアメリカの「文化盗用」ですよね!いずれにせよ、ポリティカリーにコレクトリーな作品じゃありませんね。
なんてことはいっさい考えず、アタマ空っぽにして観る感じの作品?っていう先入観があったんですけど、いやいやなかなかこれは。絵柄がイイ。アメコミ特有のクドい感じに、中世日本の風景、日本画風のあっさりした色使いの、絶妙なミキシング。フルCG(だよな)特有の迫力あるカメラワーク。「映像表現」としては見事でした。色彩が凄くよかった。お話は割と単純でしたが、ネタも色々盛り込まれてて面白かった。んだが、ただやっぱ薄いな物語としては。終盤の方のジョーカーの台詞で「つまらんな」みたのがあったんだけど、「うん、オレもなんか飽きてきたぞ」とか思ってしまった。
90分くらいの、映画としては短めの作品なんだけれど、終盤はちょっと飽きてきた。これは「バカっぽいから」ということではなく、物語にひねりが少なく、単調になりがちなせいかな。着想とかネタとかは非常にいいと思った。絵も見事。シナリオがもうひと頑張りかなあ。
なかなか良かったです。私はけっこう気に入りました。べ、別に、ハーレイ・クインの声優さんが釘宮さんだったから気に入った!だとか、そんなんじゃないんだからね!