改革バカ一代

 この間の元増田さん?高校の非常勤講師で、大変だーっていう話。


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 ご本人に対してどうこう、という話ではないです。大変だというのも分かるつもりです。ご本人の自己責任だとか言うつもりも全くないし、個別に論じたいわけでもないし……など言い訳じみた言葉を並べていますが、一般論としてね、思ったことがある。


 だってさあ。「改革」ってこういうことじゃん。中曽根の頃から延々と30年も続けてきた「成果」じゃんかこれ。これで発生してくる「格差」とか「貧困」とかって「構造改革」の「成果」じゃん。決して「副作用」ではない。狙い通り期待通りの「成果」だよ。「コストダウンに成功」し「生産性」が向上しているんだからな。私は教育の現場とか業界とかはよく知らないので、まあ一般論としてなんですがね。

 こういうケースでフルタイムで雇ったら「無駄」とか「これだからお役所は」とか言われて叩かれるわけじゃん。民間でもそうだけれど、こういうのカタカナで「オンデマンドビジネス」とか「アウトソーシング」とか言うわけで、さも素晴らしいことのように喧伝してきたわけじゃん。

 「無駄削減」「生産性向上」「効率化」のための改革。その成果じゃないか。何を怒っているんだ。昔はいろんな規制があって、無闇に「効率化」出来ないことがあった。それを「改革」し続けてきたわけじゃん。その最先端が安倍ドリルじゃん。「私のドリルが日本経済に巣食う悪魔を倒すぜ!」って言ってたじゃん。あれ「第三の矢」だったっけ。

 どんだけ「改革」を進めようが、ちっとも日本経済は良くならない。おかしい、まだ改革が足りない、もっと改革しなければ。そうやってやり続けてきた成果じゃん。



 例えば、だ。やってるのはこういうことだ。経済偏差値で上位30%は、まあ改善の余地はあるにせよ、よし、としよう。それ以下のヤツらがダメだ。日本経済の足を引っ張ってる。まさに日本経済に巣食う悪魔なんだよ。
 
下位側70%~は外注業者に頼もう。(アウトソーシング
   60%~は派遣社員に頼もう。(オンデマンド)
   50%~は海外に工場を移そう。(グローバルビジネス)
   40%~は外国人労働者にやらせよう。(ダイバーシティ
   30%~はどうにもならないな。(自由化!)

 いろんなことが規制で守られていたのを、無駄だ邪魔だと「改革」し続けてきたわけじゃん。でもちっとも良くならない、むしろ悪化してるじゃないか。それはまだまだ改革が足りないからだ!

 ホントにね。30%以下のヤツらなんて補助金なしではやっていけないのよ。困った困った。東北や北海道の貧農とか。4~5ヶ月も雪で閉ざされるような地域の生産性など低いに決まってるじゃないか。なんでそんなとこで経済活動をしてやがるんだ。どうにもならない。のでとにかく自由化。死ね!そんな感じ!!


 だいたいそもそもイマドキ人を雇ったり物や土地や工場なんかを管理するのがリスクなんだよ。全てカネに換算して、即座に出し入れ出来るようにしとけばリスク回避もバッチリ。全てをカネで管理すれば経済は最適化効率化最大化されるんだよ。そのための金融ビッグバンなんだよ。要するに世界で最も生産性が高いのはウォール街なんだよ!世界経済はウォール街に任せれば全てがうまくいくんだよ!


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 何のための改革だったのか、よく考えてみよう。リソースの最適化。利益の最大化。これはウォール街が最も優れている、最もフェアである、ことになっている、という設定の元に改革を続けてきたんだよ。


 GDP増やすとか所得増やすとか雇用をふやすとか、一切やってこなかったじゃん。むしろ全て逆。とにかく無駄だから減らそうなくそうと努力してきたんじゃん。で、実際そういう政治家が人気なわけじゃん。今だって大人気じゃん。小泉、安倍、橋下、小池。GDPも仕事も減るに決まってるじゃん。


 アメリカじゃあ、もうこんなのいい加減にしてくれよ!ってんでトランプ大統領みたいのが出てきてしまったんだろ。アレもどうかと思うが、安倍や橋下や小池なんぞよりはだいぶマシというか、出てきた意味合いが全く違う。「改革バカはもうやめだ!」って言ってるからね。「改革」がまだまだ足りない日本とは大違い。