あなたとは違うんです

〇 最近カネの話が多かったよね。記事の内容が被ってたかな、と思って先月のを読み直したら、自分が思ってたより同じだった。やばい。これじゃ「近頃おっさん同じ事ばっか書いてんな。認知症はじまっとるんやな、かわいそうに」とか思われてしまうぅ。何を書いたかしっかり覚えておかないと。以後、気をつけますね。
ところで弥生さん晩飯はまだかのう?


〇 やっぱりカネの話。年初からずっと、ロングは怖くて取れない、ショート推奨、としてきましたが、例の「日銀のETF買いが倍増」のおかげで、今月からはやっぱり下がりづらくなったようだ。ショートは明らかに不利だ。難しくなった。前場で2%押し込まれれば後場で日銀が600億以上ぶっ込んでくる。日銀の強い決意を感じる。ヘッジファンド勢は売り込みづらくなった。さてどうやってむしり取るか。前場での押され具合を見てから昼休みにロング取るのはありか。或いはもう半年くらいは東証に参加しない方がいいかも。


〇 ショートと言えば「big short」ってアメリカ映画を見たんだった。いわゆるサブプライムバブル、その崩壊で儲けるお話。実話ベース。邦題は「マネー・ショート」で、マネーがショートしてパニック、みたいなイメージですが。原作書籍の邦題は「世紀の空売り」。ショートとは「空売り」「売りポジション」の意味なのでこっちが正解。面白かったです。


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〇 罵倒語連発、Shit! Fuck off! Mother fucker! とかやたら出てくる。ので?字幕版の方が雰囲気が掴みやすく面白いんじゃないかと思った。金融の仕組み、住宅バブルの構造、株取引、デリバティブ商品なんかについて、ある程度の予備知識がないとキツいかも。という人向けには吹き替え版が推奨されています。日本語のセリフがどうなっているのかも気になる。


〇 作中ではグリーンスパン前前FRB議長が批判されている。2001年頃のITバブル崩壊の後始末でおこなった金融緩和策が、新たなる巨大バブルを生み出してしまったんだと。さあて、バーナンキFRB議長はどうか。利下げでは飽きたらず、すさまじい量的金融緩和。弾切れになったところで挫折。バブルは死なない。ゾンビ化しドロドロになったバブルのお化けは新たなるカネを求めて日本へ。そして日本で調達したカネはさらに世界中へと拡散する。そりゃ円安にもなるさ。日銀の緩和マネーはどこへ行く。あらら、最近戻ってきてるみたい。ベースマネー増やしても円高が止まらないぜ。


〇 アメリカは2007年からバブル崩壊の兆し、2008年にはガタガタになり、9月15日のリーマンブラザーズ社の倒産で大混乱に!というのが史実。当時の日本は2007年9月に発足した福田内閣でした。で、福田さんたら2008年8月に内閣改造を行った、と思ったら9月1日には辞意を表明、9月24日に内閣総辞職となります。日本の行政が空転中にリーマンブラザーズが倒産。これは偶然ではありません。最終的に「リーマンショック」のトリガを引いたのは福田さんなのです。



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 バブル崩壊をなんとかソフトランディングさせたいアメリカはカネの無心に奔走、カネと言えば日本しかない!ってことで融資希望額はなんと一兆ドル。金融担当大臣だった渡辺よしみ氏を中心に、融資を推していた人も多数いたようです。小池百合子さんとか。この要求を拒否するため福田さんは、まず8月の内閣改造で渡辺氏を外し、さらに9月には内閣総辞職を敢行、日本の行政をわざと空転させる。これでアメリカは最後の頼みの綱であった日本からの融資を断念、リーマンブラザーズの救済を諦め、倒産確定となる。


 ネットで調べると、これをもって、福田さんはアメリカの要求を突っぱねた、日本の財産を守った、立派なサムライ!なんていう武勇伝が出てきます。これぞ「ネットde真実」ってヤツだと思うのでどうかご注意を。一面的です。まあ、「自分のクビを賭けてアメリカの要求を突っぱねた」というのは本当のようなので、これは正直にすげえと思います。

 これが日本にとって、世界にとって最良の選択だったか、なんて事は誰にも分からない。ハードランディングになってしまったし。かといって、日本から一兆ドルの融資があったとしてもバブルの崩壊は食い止めようもなかったし。

そもそも小泉政権時代には、円安誘導のために財務省が外貨準備金を使って一兆ドル以上アメリカ国債買ってるし(いわゆる「日銀砲」だとか言ってネトウヨがはしゃいでたヤツね)、民間からのアメリカへの貸し出しは五千億ドル以上あったらしい。

 アメリカがサブプライムバブルに浮かれているとき、日本からアメリカに渡ったカネはトータルで2兆ドルくらいあった。直接的に証券を買っていた訳ではないにせよ、日本や中国がアメリカのバブルの半分以上を支えていた。バブル崩壊で為替レートは1ドル120円台から90円くらいまであっという間に行きましたが、これは民間のカネが返ってきたから、というのが大きい。信用収縮。


 で、次の麻生政権が、リーマンショックの尻ぬぐいをやることに。


 麻生政権では、小泉時代に外貨準備金から購入したアメリカ国債を担保にして日銀から100兆円を借り、アメリカではなくIMFへ融資し、バブルの後始末への資金提供をする。これをもって、大不況だというのに海外へ100兆円も貸し出すとか麻生は大馬鹿者、なんて論調がありました。これが原因なのか分かりませんが、当時の中川財務大臣は失脚しました。そして死にました。


 私は、この時の麻生さんの判断や行動は見事だったと思います。外貨準備金なんて国家予算とは関係ないんだから、麻生中川批判はあまりにも的外れのド素人。当時のIMF貸付なら金利2%くらい付くから、年2兆円の収入になる。あの時点で、リーマンショックに対応できる有力政治家ってのは、オールドケインジアンである麻生さん中川さんしかいなかった。(多くは小泉時代抵抗勢力として潰されてしまったので)


にもかかわらず、日本は中川さんを引きずり下ろし、麻生政権を叩きつぶして喜んでいた。



やったぜ!諸悪の根源自民党をついに倒したぞ!日本の未来は明るいぜ!日本氏ね!




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