国民派遣

(前回記事の続きですので、未読の方はまずそちらの方をご覧くださいますよう)

http://fnoithunder.hatenablog.com/entry/2014/01/28/235658

でも10年前の、小泉の頃ってそんなに景気悪くなかったろ、という気がするぞ。っていうか、「いざなみ景気」とか言われてなかったか?話が違うじゃないか?「小泉構造改革」のおかげであぶれた人、例えば前回の記事に出てきた、Kエンジニアリングで解雇されるべき2名は、いったいどこへ行ったのだろう。
一人は派遣社員として再雇用された。アメリカ住宅バブルによりアメリカ経済は活況となり、輸出産業が好調になったので、車作ったりとかしていたんじゃないかな。いわゆるサブプライムバブルってやつですな。これって実は日本を始めとしたアジアにも、相当恩恵があったんです。ちなみにアメリカの住宅バブルを支えたのが小泉政権時代の金融緩和策。アメリカに渡った金は一兆ドルに及ぶという。(融資したのであって、あげちゃった訳ではありませんよ)

そしてもう一人は中国へ行ったんだ。国民を解雇する代わりに、中国、韓国、台湾、ASEAN諸国などの外国へ派遣することで雇用問題は一時的には改善されたのである。
中国もアメリカバブルの恩恵で大いに経済発展しました。日本からのODAの恩恵もあるでしょう。大手ゼネコン技術者は中国でインフラの設計をしていたり、JR東日本川崎重工は中華新幹線で大躍進。この件でJR東と川重はて随分と叩かれていましたね。中華ODAを利用してボロもうけ、なんてハナシですが、日本人の雇用も守ってはいたのだ。なんだかんだで小泉政権下でのODAなんだし。対外ODA存続を熱望しているのは、日本で叩かれ、「官から民へ」「コンクリから人へ」なんかでまさに仕事を失ってしまった日本のゼネコンとか、或いは重工業関係とかではないでしょうか。
中華に限らず、ODAってのは大手ゼネコンだとか、重厚長大産業の「利権」になっている、という面はあるのでしょう。でもまあ、それで日本人の雇用や生活が確保されたり、或いは国際貢献で日本人が活躍きるのなら、まあ仕方ないのかな、とも思います。個人的には。

私はメカトロ設計関連の仕事をしているもんだから、工場生産ライン構築のために中国、韓国、インドネシアなんかに行きました。同業の友人だとタイや台湾、ベトナムに行った人もいる。
「仕事がない?だったら外国に行けばいいじゃない!」
ってマリーアントワネットかよ!これがグローバル化の正体である。

しかし、その後の「リーマンショック」。アメリカ住宅バブルの崩壊で、あっという間にアメリカ依存のアジア経済は冷え込んでいく。

当時の麻生総理は、やたらと「雇用!雇用!雇用の創造!」なんて言っていましたが、それこそまさに「経世済民」の精神からで、仕事がないなら創造しよう、そのための知恵を出そうってことです。なんだか矛盾するような点や無理があったりしたのは、仕方のないことなんです。
実際のところ、麻生さんの素早い財政政策の決断が奏功し、日本は世界に先駆けて、いち早く立ち直りを始めていました。……にもかかわらず……
「またムダな公共事業か!」
「そんなのはバラマキだ!」
「ホテルのバーで酒を飲んでやがる!」
「漢字を間違えやがった!」
「ほっけの煮付けだと!」
「セメント屋風情が!」
などなどなど。もう滅茶苦茶です。

そうやって日本国民は麻生政権を潰してしまいましたとさ。

そして民主党政権はといえば「①」の「経世済民」のようなことを言いながら、実は事業仕分け公共事業削減など「②」に該当する改善策を強力に遂行し、事態を悪化させていきました。要するに、政権交代により、日本では「金融引き締め」に「公共投資削減」ってなりましたね。しかし世界的に見ると……完全に真逆ですって!
米も欧も中も韓も、このままではやばいぞ!ってんで、リーマンショックで冷え込んでしまった民間投資の穴埋めをすべく、金融緩和しつつ公共投資を増やし、政府主導で需要喚起、というのを実施しました。まさに麻生さんがやっていたとおりに。借金が増えようが、持続性に疑問があろうが、とにかくちゃんと応急処置をしなければ助かるものも助からなくなってしまうのです。