「若者×政治」の話、の感想とか

 前回の記事では珍しくブクマしてくれた人がいたので、そうか昭和の国鉄についてもっと知りたいよね!などと思ったらそういうわけでもありませんでした。励まして頂きましてありがとう!


さて、こちら佐藤健志さんのブログ。

女性活躍をめぐるキレイゴトの発想 | 佐藤健志 official site ”Dancing Writer”


佐藤さんが11/3の、BSフジ「プライムニュース」って番組の、

「若者×政治」相関図 “保守化傾向”の核心 “炎上”のメカニズム
 
の討論に、ゲスト出演してきた件について書かれています。
Youtube にも上がっているようですが、そのうち削除されるんかな。興味ある方は探してみて下さい。


パネリストは、

佐藤健志さん
津田大介さん
三浦瑠麗さん
古市憲寿さん


 メインキャスターの反町理さんがお休みとのことで……う~ん、なんかイマイチだったな。反町さんいないとダメだなこの番組。佐藤さん、三浦さん、結構面白いこと言ってるんだけど。議論としてはうまくいってない。佐藤さん三浦さんの意見に興味ある、という方なら見る価値はありそうだが……

 キャスターの二人が、タイムテーブルやら各パネリストに話を振るような作業やらに気を取られて、ちゃんと話を聞いていないのか、或いは、佐藤さんの話がイマイチよく分かっていないのか……



以下、各パネリストさんについて。

古市さん

 なんかさー、佐藤さん三浦さんは討議テーマにもとづいて、事前準備や調査を入念にやってきた感じする。津田さんはそこまででもないかな。でも自分なりの引き出し持ってるし考えもあるようだし、まあいいか、って感じ。古市さん準備してないよね。言ってることがとりあえず、直接的「個人の感想」程度にしか聞こえないので話に発展性がないし、わざわざTV番組に呼んで話させるほどの内容とは思えん。なぜ呼んだ?

 20代半ばくらいだったらまあこんなもんで十分なんだろうけれど。つまらんぞ。調べたらこの人もうすぐ33歳か。子供っぽいなー。個人ブログじゃあるまいし、こんなレベルじゃそろそろマズイんじゃないの?

はてなブログのアラサーさんクラスにもっと面白い人がいっぱいいるよ。

佐藤さん

 佐藤さんがブログで「プライムニュースに出ますよ~」と言ってたのでこれ見たんですが、上のリンク先記事を見ると、どうもご本人としても「議論」としては不満が残ったご様子。

公式ページの「ハイライトムービー」へリンクが張ってあるんですが……
これハイライト?

 日本人としてのメタ認知というか、メタ論的に面白いんだけどなあ。一般受けしないのかなあ。ハイライトムービーなのに前半のハイライトをバッサリカットしてるじゃないか!女性の活躍問題とか!!


 前にウチでルミネ問題やったときの、ぜろすけさんが言ってた「反差別だとか平等だとかってどうしても『表面的な解決』しか提示できない問題」について、佐藤さんが具体的に指摘されているのですが、少なくともキャスター2人と古市さんは分かってないな。まー実のところ、アメリカもこの問題はまったく解消できずに拗らせまくっているのでトランプ大統領が出てきてしまったわけだし、分かりやすい答えってのを誰も持っていないんだけどね。


 結局これ、ひとことで言ってしまえば、皇后陛下の曰くで「私たちは複雑さに耐えて生きていかなければならない」っていうことなんです。けど耐えられない人が多い。単純化、分かりやすくしたい。古市さんとかその典型。大衆理性を信頼するつもりのようだ。

三浦さん

 今回の討論では「民主化」という言葉を、わざと、あまりよろしくない意味で使ったのが斬新でした。オルテガの大衆論的な意味合いで、さりげなく。
 
……すまぬ、ここで番組ではなく、三浦さんのブログの方の話をします。近ごろ気になるブログなのです。はてなブログ「山猫日記」でおなじみ。実は始まったのがウチと同じ時期。しばらくはウチよりも読者が少ないくらいの弱小ブログで、国際政治学者?誰?知らねーし。そんなふうに思っていた時期が、俺にもありました……いつの間にやら何千人も読者がいるのね……

 外交安保ではいわゆる「リアリスト」的立ち位置、と目されているようです。確かに岡崎久彦さんのような露骨な「親米保守」とは異なる。遠からず世界に訪れるであろうウェストファリア体制を意識されているようです。とは言っても自主防衛を強調するほどでもなく、麻生太郎さんのような「価値観外交」みたいなこと言ったりしてた。ので、中野剛志さんのようなリアリストとは違う。強いて言うなら中野さんは普遍的リアリスト、三浦さんは日本的リアリストなんでしょう。「結局日本はアメリカの属領だし自主防衛なんて到底、当面は、不可能」というのが論説の前提として組み込まれている感じはする。
 
 これは普遍的リアリズム防衛論ではない。本来日本に必要な議論は、
核武装
② 通常戦力整備
③ 軍事同盟
合従連衡価値観外交

 です。当たり前なんだが国防においては①②が主で、③④はオプションでありオマケ。①②を考えずに③④の話だけをしても、結局は相手国次第になってしまって、相手国のいいなりになるしかなくなる。実際にアメリカは日本の①②を封じるために70年以上も占領体制を続けているわけで、特に冷戦終結以降は、そのコストを日本に支払わせようと躍起になって、日米構造協議だの年次改革要望だの、徹底的にやってきた。「失われた20年」はアメリカの対日経済戦略の「成果」であって、冷戦終結で「目の上のたんこぶ」化した日本の、経済的封じ込めに成功したということ。

 竹中も岸も岩田もアメリカのエージェントだと思った方がいいぞ。今後は米中が連携して日本封じ込めと弱体化をやってくる可能性は十分にある。つーかオバマは既にそういう気配あったし、米中はいずれそういう連携体制へと変わっていく、という可能性を十分に検討した上で、日本の防衛戦略を立てねばならんのです。おっとしまったいつものお得意お約束の展開になってしまった。

政経済学やってると、国防論であってもそういう経済寄りの話題に触れざるを得ないのよ。


 まあとにかく特に日本は、外から見れば世界有数の大国なのに、①②をマジメにやってないし全く論じてない、という問題を避けてしまったら、リアリズム防衛とは違うのです。
 
 三浦さんは「(当面は)アメリカの理想主義に従わざるを得ない、逆らえないのが日本のリアリズムである」と、無意識レベルで、当然のように思い込んでいるワケではないし、ここのジレンマ、矛盾にはお気づきのようですし、指摘もされている。が、自主防衛戦略とか核武装の話を積極的にされているわけではない(と思う)。 しかしまあ、謎の上から目線で申し上げますと三浦さんよく勉強されているようだし論説のアップデートも早いので、期を見てそういう論説を展開されるのかもしれません。
 
 まあ、日本の政治では長期ビジョンてほぼ相手にされないからなあ。民衆は見向きもしないし。仕方ねえのかな。経済まわりでは安易に改革とか言ってしまうようなので、そこは残念。


ところで前回記事、憲法9条信仰の話は面白かった。


lullymiura.hatenadiary.jp


 どうも、一部「はてサ」が発狂してたようなので……図星だったんでしょうねえ。この、左派勢力の「9条は『世界』の宝」と言いつつも、実は9条は、世界で日本だけが保持している日本特有のもの!であるがゆえに日本は道義的に世界の最先端にいる、つまり日本は世界一イイィィィィィィイイイ!論法。実はこれは左派の「隠れ愛国」のようなものであり日本特有のいびつなナショナリズム、っていうの。実は佐藤健志さんの本読んだのかなあ、なんて思いました。今までこれ言ってるの佐藤さんしか見たことなかったし。


 憲法9条で世界平和だ!なんて、竹槍で本土決戦だ!というメンタリティと同じであることに無自覚、ゆえに発狂するのであろう。


 しかし、(ネオリベを含めた)リベラリズムが重大な欠陥を露呈し、ターニングポイントに来ている、というのは、日本よりむしろ欧米の方がよっぽど深刻な問題でしょう。トランプが大統領になるくらいですからね。スペインやイギリスの分裂騒動とか。外の敵がいなくなったら、国が内部闘争と分裂を始めて崩壊してゆく、というのは、リベラリズムと無関係ではありません。というか、日本はこの問題の深刻さに気付いていないというか、だからまあ、ある意味まだ(欧米よりは)セーフなのかもしれません。そういう意味で安倍さんはアウトなんですけど。ネオリベラリストですから。


何をもってリベラルなのか、というところから議論せねばならんことですね。
これ、書けるレベルになったらちゃんと書きます。

津田さん

 ……世間話、雑談としては面白かったと思うが……印象に残った話はないなあ。ごめん、あんま書くことない。



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