【祝】 「響け!ユーフォニアム 」映画化 【PR】

 書きたいけれど読みたい人がめったにいなさそうな話。最近そんなのばっかりで躊躇してしまうのだがいってみよう。【PR】といっても別にアフィではないけれど。


映画化決定!

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 俺が主人公を務める「響け!ユーフォニアム」だ。映画化と言っても「二期の総集編」だけれど。ここの久美子の絶叫シーン、なんか往年の大映ドラマみたいだな。二期はこういう演出が多いんだよね。声優さん大変だ。


なんと映画は1本だけではない。

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曲は「韃靼人の踊り」。


 延べ3作品。来年にかけて順次公開されていく。2本目は「みぞれと希美の物語」。これは監督が山田尚子さんか。ちょっと心配……「聲の形」が私的には残念だったので。なんて先入観があるとよくないな。

 3本目は「二年生になった久美子たち」。これ、京アニオリジナルストーリーでやるのかと思ったら違った。原作の武田綾乃さんが続編執筆中。
 


 なら一安心。告知にあるように小説は映画に先行して発売される。私は毎度毎度、原作との差異が気になってしまうので、映画観てから小説の方がいいだろうなあ……差異と言えば久美子と秀一どうすんだ。無かったことにしてしまうのだろうか。


以下、また前回みたいに「原作比較」や「原作改編」の話。


原作小説の総評
 以前書いたように久美子のキャラクタ造形が気になってしまって。既刊の原作小説7巻、全て読みました。うち長編は5冊。(以下便宜的に、①久美子編、②みぞれ編、③あすか編、④梓編1、⑤梓編2、と呼びます。)私はアニメより小説版の方が好き。困ったことにKindle版はない。
 
 ラノベとはちょっと違う感じかな。挿絵も無いし。「萌え表現」みたいのもあんまりない。強いて言えば麗奈と秀一が萌えキャラだろうか。ちなみに④⑤梓編は燃え萌えな感じ。1巻はあんまり読みやすくはなかったかな。いわゆる作家の「是非とも書きたい部分」と「そうでもない部分」の文章落差が激しく、そこに素人っぽさは感じた。でも書いたのは確か二十歳くらいの時期らしいし、こんだけ書ければ大したもんだ。

「書きたい部分」の熱量は凄く伝わってくるので、地力や将来性を感じる作者さんではあります。その素人っぽさもまあ、読み慣れてくるとあんまり気にならなくなるし、長編書くたびにどんどん良くなってる。書くたびに成長してる感じがとてもイイです。④梓編が一番好きかな。⑤梓編の終盤はなんだか色々と盛り込みすぎてとっちらかってしまった印象あり。吹奏楽ものはこれで描ききった、と仰っていましたが……


①久美子編

 
 アニメ版の一期。入学から京都府大会まで。小説1冊でアニメ1クールなのでのんびりペース、アニメオリジナルエピソードも多い。アドリブ改編も多い。同じストーリー展開でありながらアニメと小説の印象はかなり異なる。最も異なるのがアニメ版では「久美子が主人公になっている」こと。よくもまあこんなキャラを主人公として立てたな。大したもんだ。京アニの底力を感じます。


 実のところ小説版では久美子は主人公ではない。明確な主人公のいない群像劇。久美子の役どころは出ずっぱりの狂言回し。常に久美子の視点ベースに描かれる、いわゆる「北宇治高校編」①~③巻は全てこの原則は変わらない。
 
 特に自己主張もなく、周囲に流されたり振り回されたり、なんとなくいい子ちゃんを演じているだけの久美子。あんまり個性的、魅力的な人物としては描かれていない。というよりも久美子自身はたいして描かれていない。これは狙いどおりのようで、作者の弁によれば、当初はトランペットの達人である麗奈を主人公に、と考えてたらしい。でもそれだと、すげえ強力な一年生がクソな先輩方をバッタバッタと倒していくという、ありきたりな勧善懲悪もの、例えば「北斗の拳」とか「GTO」みたいなのの百番煎じになってしまうなあ、ということで「久美子」という「控えめで全体把握力に長けた人物」「しかも目立たない楽器のユーフォニアム奏者」を設定したそうです。

②みぞれ編

 アニメ二期前半、関西大会まで。主に二年生の、みぞれ、希美、優子、夏紀の4人のお話。表紙絵の、背中合わせで描かれるみぞれと希美。この絵が二人の関係を暗に物語る。アニメではアドリブ改編はあるものの、原作との差異は少ない。周囲に流されがちで、傍観者的だった久美子は、本巻では希美やみぞれの役に立ちたいと奔走するようになる。結局あんまり役に立ってないんだけれど、でも頑張ってる。ので、作中立場は「狂言回し」でありながら、以前より成長して「主人公」的な振る舞いをするようになって、自己主張もするようになったところに好感が持てる。

 ……のですが、アニメ版だと、一期ではちゃんと主人公やってたのが、みぞれ編では、訳も分からず他人の間に立たされてしまってアタフタしてるだけの感じに。もう一つ大きな問題、一期では割とうまくいっていた3年生の晴香部長とあすか副部長のパワーバランスとキャラ設定の変更。みぞれ編では話の展開を原作に近づけてしまったことで、この設定変更が裏目に出てしまい、ストーリーが不自然になっている。
 
 希美は「部活に復帰したい」のを「どうしてもあすか先輩に許してもらわなければならない」と、なんでそうも思い詰めているのかイマイチよくわからない。あすかの方にしても、それほど希美にこだわっているようにも見えない。どうしても不自然さがある。

 この辺は原作では筋が通っていて、しかもあすかは「どうしてもダメだ」とまでは言っていないし、言う必要がない展開。

みぞれと希美の関係

 これは読者(視聴者)視点でどちら側にシンパシーを感じるかで見方が変わるところですが。原作だとあくまでも「みぞれの片思い」が徹底されていて、切なかったり気持ち悪かったり。これ実は、久美子目線で描くからそう見える、という構造になっている。

 アニメも基本は同じなのですがしかしですね、関西大会後になると両思いになってるところを強調してるのが非常にヘンに見えるのです。なんでそうなる。みぞれにとって希美はとても薄情に描かれていたのに。

……けれど。なぜそうなるのかは、実は④⑤梓編で補完されています。梓は希美の互換キャラクタになっているので、希美にとって、実のところみぞれはどういう存在だったのか、なんで一年間も話せずにいて、それでもなお大切な友達なのか、ってのが見えてくるようになっている。よくできてるなー。この作者(ひと)「キャラもの」でお話つくるのすごく上手だなー。
まあ俺はどこまでいっても優子推しだがな。(優子と言っても大島さんではない、なんてネタは中野学校の人にしか分からない……)

 この巻、新幹線で移動中に読んだのですけれど……終盤のあかりちゃんのエピソードでボロ泣きしてしまい……いったい俺はどうしてしまったんだ。イヤほんとにね、30代半ばくらいまではさ、俺ほど泣かない人間がおるか、っていうくらい泣かない人間だったのに。フィクションで泣くとかあり得んだろいったいどうすればそんなことができるのか不思議で不思議で仕方なかったんだがな。あかりちゃんて誰だよ。アニメでは割愛されて出てこない、小説版でも端役の人です。

③あすか編

 なんか飽きてきたな。もう少し頑張らねば。アニメ二期後半、全国大会までと3年生の卒業。部活と受験の両立、親との関係とかの話。北宇治高校編の総仕上げ。さっき書いたけれど、書くたびに良くなっていくという、作者の成長を感じられる傑作です。あくまで「現実的な展開」を意識しているので、お話としてはおとなしめな感じ。

 これをアニメではドラマティックに仕立てようとして、久美子とあすかの対決と別れ、姉との対決と和解、麗奈との対決と墓参りなど、対決を強調、原作となんとなく違う展開なのは別にいいんですが、なんか全体的に「昭和の大映ドラマ」みたいな演出。実写化するなら麗奈は伊藤かずえさんで決まり、久美子は伊藤麻衣子さんでどうだろう。滝先生は山下真司さんで。


 二期のバランスを悪くしてしまった改変ポイントとして、最後まで響いたのが晴香部長のキャラ設定変更だと思う。原作だと、ちゃんとした人なのかと思ったら実は自虐的でとても頼りない、残念なキャラ。あくまで「不憫なネタキャラ」が基本。出番も少ないし。生徒では唯一名前ではなく姓表記、徹頭徹尾「小笠原」と書かれている。後藤先輩だって文中では「拓也」だからね。当初はなんでこの人だけ「姓」なんだろう、なんで「晴香」って書いてあげないんだろう、という違和感が拭えないのですが、きっと不憫さをあらわす一つのネタ表現なんだろう、と思うことにしたら違和感が消えた。
 
 そんなわけで、部長だけど残念なネタキャラ、であるがゆえによって、部内おけるあすか副部長の役割や存在感が非常に大きい、という設定なのですが、これがアニメだと、晴香はなんかちょっと頼りないけれど、でもすごく一所懸命に頑張ってるいいお姉さん。ちゃんと部長としての存在感を示せているので、相対的にあすかの部内役割や存在感が薄くなっちゃってるんだよな。

 いやまあ、晴香のキャラが立ってたのは凄く良かったんですが、そうすると原作のストーリーのままではうまく回らないところが出てしまうのをうまく消化できなかったというところでしょうか。

④⑤梓編

 もう読者の皆さんも飽きてきた?
 梓は、久美子の中学時代の同窓生、立華高校という吹奏楽の名門校に進学した子。北宇治高校編とは違って、明確に梓が唯一無二の主人公になっている。こっちの話の方が私は好きなんですがもう疲れたので、梓かわいいよ梓、でお茶を濁す。アニメでもたびたびカメオ出演しているのは京アニの「観測気球」感ある。一期一話の冒頭からして久美子を差し置いて先に登場するし、先にセリフあるし。しかし、北宇治高校編で続編映画ををやることになったので、こっちのアニメ化は無いのかな。ちょっと残念だ。


では、今回はこんなもんで。


※前に書いたやつ。俺が久美子だとかいう
fnoithunder.hatenablog.com