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「日本の保守」のダメなところ 4つ

久々に柴山桂太さん登場!
 
www.youtube.com

 これは面白い!超オススメだ!20分くらいですし、ぜひ見てみてください!
特に動画中盤くらいの、佐伯啓思さんのプラトン哲学の話が面白すぎるう!あとはポリティカルコレクトネスの話ね。
いやあ笑ってしまった。いや笑ってる場合じゃないんだけれど。もう笑うしかないな。
トランプ大統領の何が凄いのかがよくわかりました。


さあてもう一つ、こちらはオススメしない動画!
3時間もあるし!
 
www.youtube.com

パネリストは以下の5名

小堀桂一郎さん
古森義久さん
西岡力さん
用田和仁さん(元陸上自衛隊西部方面総監)
佐藤健志さん


 佐藤健志さんが出ていたのと、今回はメンバー5人であり、いつもより少ない分、より突っ込んだ議論になるんじゃないかと期待して見たのだが。とても残念な内容だ。今の日本の保守派のダメなところがよく出ていると思う。まあ、保守というより「反左翼」(=「右翼」)でしかないのだが。


テーマである「どこまで自立したか?日本」という点で見どころは無いが、メタ視点で「日本の保守の欠陥とは何だ?」を考えるなら、なかなかいい教材である。


私が感じた問題点4つ、取り急ぎ挙げておきます。

経世済民が分からない

 これが保守派の最大の問題。「安全保障」とは「国防」だけのことではなく、身近なところでは、安定的な「治山治水」と「食糧確保」と「燃料確保」などが国民の安全確保には重要だ。日本とは、世界三位のGDPがあり、1億以上もの人間が住んでいるという、実は世界有数の大国である。そんな国が食料自給率はカロリーベースで30%以下、エネルギーは6%(意外とあるか?)。備蓄も危ういし、頻度に対して災害にも弱い。効率ばかり重視してRedundancyに整備されていない。ダムなんかも建設50年も経って、老朽化したり保水力が落ちてきたりしている。インフラの老朽化も目立ってきた。

つまり、国土強靱化が大事なのですが。


 このように、国内には様々な問題があるにも関わらず、この話をしたのは佐藤さんだけ。大概の人は興味なさそう。まあ用田さんは元自衛官だし、国防の話をするのが当然なのですが、この人だけは「国土強靱化」を口にしていた。さすがだな。しかし古森さん小堀さんはジャーナリストだったり学者だったり、なんだけどな。

 国内の様々な問題に目が向いている人はいなかった。アメリカと中国と北鮮の話ばっかり。国内と言えばせいぜい左翼批判しかない。まずはもっと自国の問題を直視すべきではないのか。これでは「保守」は金持ち道楽、余裕ある人の政治ごっこなんて思われかねない。もちろん、そんなわけ無いというのは分かっていますが、保守派はもっと国内、庶民に目を向けなければイカンだろう。

② 3P理論が分からない

 伊藤貫さんが言ってたアレね。
① Philosophical Levelの話
② Paradigm Levelの話
③ Policy Level の話

 「日本人は③Policy Levelの細かい話が大好き。でも残念ながら②Paradigmの問題が全く分からない、興味がない人が多い。①Philosophical な話も同様、現実レベルに結びつけて考えることができない」というような。これがそのまんま出てた。


 今回のテーマからしてPhilosophicalな話が中心になるのかと思いきや。この辺について佐藤さんが真っ向から論じようとしたら……なんと、そんな話をしても無意味だ無駄だ、むしろ有害だからやめろと。小森さん。Policy Levelの細かい話は大好きだが、「Paradigm的におかしくね?」みたいな話をされると、とたんに興味を失ってイライラする。

 ここの問題意識を持っていたのは佐藤さんの他ではやっぱり用田さん。他の人は、問題はないとか、或いは些末な話だ、興味ない、どうでもいいとか。問題意識はあったとしても、何かズレてるというか。

③ 全く先が見通せていない(そんな奴らが保守を名乗っていいのか?)

 もうアメリカ一極支配は終わりの終わりを迎えつつある。この認識が日本は非常に遅れているのだが、保守も酷い。世界はもう既にウェストファリア体制に移行しつつある。これを言っているのは、エマニュエル・トッド氏、佐伯啓思氏、伊藤貫氏、中野剛志氏ら。ワシントンコンセンサスとポリコレによりアメリカの自己崩壊は加速し、来るところまで来た、限界まで来た、が故にトランプ大統領のような人が出てきたのだ、という認識が無い……

 それどころか、なんと今後もアメリカにつき従ってさえいれば安泰なのだ、それが日本の正義なのだ。と言って未だ冷戦構造にしがみつくとは。これは酷い。

④-1 アイデンティティの薄っぺらさ

 「保守派」にとって最も大事な問題と思っていたが……ホントに酷いな。唖然とした。開いた口がふさがらない、とはこのことだ。まあ、あんまりイラついたことを強調すると、保守派の人と話が出来なくなってしまうから冷静にやらねばならんのだけれど。

 西岡さん。「日本は冷戦に勝利した」と言うが。
「自由と民主主義」の勝利。日本は戦勝国なのだ。これが日本のアイデンティティなのだという。敗れたソビエト連邦、中国、北鮮らよりも、日本は道義的に優っていたのだ。これからは道義的に劣った共産国の残滓、中華や北鮮を成敗するのだ。

 小森さんは「アメリカの秩序に挑戦するけしからん中国と北朝鮮」という言い方をしていたけれど。すげーなこの人ホントに日本人なの?ちょっと信じられない。アメリカ人がアメリカの話をしているようにしか聞こえなかった。アーミテージ(Armitage)かよ。さんざんアメリカの都合を語った挙げ句、結局のところ、日本はアメリカの手となり足となるのがベスト、としか言ってないのが分かっているのだろうか。それが日本のアイデンティティ。ていうか、そんなことに興味ないし。

④-2 アイデンティティまでアメリカ依存

 GHQ総司令官マッカーサー将軍の曰く、第二次大戦では日本は自衛のための戦争をしたのだ、とか。ソビエトとの対立が激化し、朝鮮戦争、東西冷戦へと移行すると、「アメリカが日本と戦ったのは誤りだった」と言ったとか。あとはフーバー大統領のルーズベルト大統領批判を持ち出して日本を擁護するとか。

 これらをもって「日本の戦争は道義的に間違っていなかった」という論法に持って行くのだけれど。

 これも伊藤貫さんが言ってた件で「マッカーサーごときに日本の何が分かるってんだ」っていうアレ。俺もそう思う。日本のアイデンティティや道義を考えるときに、何で「アメリカ大統領」や「占領軍司令官」など、いちいちアメリカ人を持ち出すのだ。何で占領下で有り難く押し頂いた「自由と民主主義」をよりどころにするのだ。アメリカ様がそう仰っているからだと?マッカーサーのご都合主義が日本のアイデンティティだと?


貴様らそれでも日本人かーっ!!

これがいわゆる「親米保守」ないし「信米保守」*1ないし「従米保守」*2。まあ「属米」でも「隷米」でもいいけれど。日本のアイデンティティも道議もアメリカ依存だなんて。いったいどこの国の人なんだ。
 
 「日本のアイデンティティ」としては、あまりにも薄っぺらいのではないか。有史1500年、国としては2000年、神話では2700年近い歴史があるんだがな。

いやまあ、どうでもいい話なんでしょうけれど。
とまあ、今回はこんなもん。

今後の課題

 さてさて厳密には「皇暦2677年の歴史を持つ国」という日本。これを言うのも「保守」の奴らですが、でもこれは「親米保守」よりも「反米保守」系が多い。今回のパネリストにはいなかったようだけれど、司会の水島総さんが典型。こちらはこちらでまたアイデンティティの問題を抱えている。


 佐藤さんの論説によると、日本の政治流派は大きく3つに分けられる。「親米保守」「反米保守」「左翼リベラル」という感じ。「日本人の道義」という視点で見ると、実はどこも同じような問題に行き着くという。


近々こちらの問題もやってみましょうか。
 

*1:「信米保守」と言ったのは中野剛志さん

*2:「従米保守」と言ったのは伊藤貫さん