帰ってきたヒトラー

 という映画を見ました。面白かった。スゴイ。小並感。感想文は苦手だし。ネタバレも避けたいし。以降も小並感想です。よく分からん話になるかも知れません。いかにも私が好きそうな感じでした。

 こういうの、日本では絶対つくれないね。アメリカも無理だと思う。



映画『帰ってきたヒトラー』予告編



予告を見ると、コメディーっぽいところが強調されていますが。基本あんまりコメディー映画ではないです。ヨーロッパじゃあナチスとかヒトラーとか、タブー扱いで「悪者として」以外には触れられないのかなと思っていましたが。こういう映画つくれるんだ。しかもドイツじゃあ超大ヒットだなんて。すごい。全独が泣いた。なんて宣伝はないか。

 Yahoo!! の感想なんかも参考にしてしまったのですが。「認知症の老婆」が重要ポイント、のように思った人も結構いるようで。私は全然それ思わなかったな。PC(ポリティカルコレクトネス)に対するアリバイ作り、と言ったら言い過ぎですけれど。必要なスパイスとは思うがあまり重要なところじゃないなー、と思った。

 独裁者ってのはなんなのかよく分かる。ヒトラーが悪だとか善だとか全く無い。凄い。ドイツ国民として、ドイツ人として、先の大戦のことを、現代の自分達につながっているものとして消化できているというか、昇華しているというか。ナチスを切り離して「悪いのはあいつらです、オレ達は騙されてたんです、仕方なかったんです」なんてのは嘘っぱちだ、とんでもない欺瞞だっていうのが分かっていらっしゃるというか。


 70年以上前の戦争について、個別の具体的案件について、自分が当事者意識を持つ、なんて不可能だし、そもそもそんなのは傲慢だ。でも思想や歴史を受け継いでいる者として、流れの中での当事者として、今の自分達なりに、自分のこととして捉える、ということが出来ていると思った。でもって、オルテガ哲学もアーレント哲学も踏襲できている。スゴイ。


 これ、日本では全く無理な感じ。できない。右派も左派も全然ダメだ。どちらも結局は敵を叩いて自己陶酔に陥っているだけ。サイテー。まさにしっきーのいう「優しい世界」に安住しているだけなんだよね。オレは正しい、相手はどうしようもないバカ、しか言ってない。(僕も気をつけよう……)


 でもじゃあ、日本人として、先の大戦を考えるっての。自分がちゃんとできているのか、整理できているのかってーと、出来てない。だから、まあ、今まであんまり書いたことがない。少しずつ書いて、整理していきたいとは思っているんだが。

 日本の事情だって、この映画に通ずるところは充分にあるんだけれど。でもやっぱり日本てこういうヨーロッパの事情や哲学をよく分かっていない。よく分からずに戦争に巻き込まれていったんだと思っている。右派や左派の議論を批判していく必要があるので、気が重いですが。憲法改正も多少は現実味を帯びてきたようだし。ボチボチやっていきますかね。