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ユーラシアン・コモンセンス

● 小説の感想を書いて頂くのはありがたいことだ。たとえ自分としては不本意な気がしたとしても、それはそれでとても参考になる。で、私も書こうかと思うのですが、これがなかなか難しい。
 そもそも私は日頃あまり小説を読まない。流行りのミステリ、サスペンスをたまに読むくらいのもので。ファンタジーもの、日常系、歴史小説私小説、なんかはほぼ読んでない。ので10作品あったら2つくらいはなんとか書けそうだけど、よくわかっていないカテゴリだと、解釈に自信もないしかなり怪しい。作者の感性に対する言及にもなりそうだし慎重さも必要。小説に限らず日頃の記事からして遅筆だし、今後の課題だ。
 
(例の、「短編小説の集い」の件です)fnoithunder.hatenablog.com
 
● 今回も何人かの方に感想を書いて頂いた。正直言うと、かなり書きづらかったのかなあ、という印象。前回は作品に解釈の余地もなく、作品そのまま素直な感じの感想が多かった気がする。前の方が良作だったみたい。(当社比)

 今回の作品、風景や人名から「現代日本の話」という感じでスタートする。しかし中盤になると「海軍」とか出てきて突如出征の話になるので、「なぜ軍?自衛隊じゃない?」「何これもしかして現代じゃないの?」「過去なの?いやそうは見えないよね?」「未来?平行世界?」「実は日本じゃないとか?」てな感じで、世界観の異様さが際立ってしまって、何か伝わるような話にならなくなってしまっていた気がした。
作者的には、前回のバイクの話より出来はいい気がしていたけれど、そうでもなかった模様。というより失敗作だったのかなあ、と思った。


● 川添さんの感想がほぼ作者の意図通りなのですが、その川添さんにしてもちょっと前のウチの記事を読んでみてなるほど納得、とのこと。憲法問題や拉致問題の記事のことですね。なのでやはり「作品単体」としてはイマイチ変なのかもしれない。

lfk.hatenablog.com

 川添さんは生まれ育ちが京都だそうですので、東舞鶴が日本有数の海軍の街だというのはご存じだったでしょうし。あと、川添さんの今回の小説はバックッパッカー海外放浪記の一場面のようで、紛争があったという描写もあるし(ご自身の経験が元になっているのでしょうか)世界的なコモンセンスを意識されている人なんだろうと思いました。海外生活も長いようですし。


ユーラシア大陸の歴史とは半分が戦争だ。東アジア、中央アジア、ヨーロッパ。そしてアフリカも同様。そして彼らに侵略・占領された南北アメリカも同じ宿命。100~150年おきに戦争虐殺グレートリセットを繰り返してる。そういうことを1000年以上繰り返してる。良し悪しではなく、コモンセンスとしてそういう状況がある。

 今回の話って、そういう「ユーラシアンスタンダード」に日本が巻き込まれるようになった、20世紀前半のこととして描写できてれば、ごくありふれた普通のお話になるでしょう。しかしまあ、大正や昭和初期の描写って私には即興では無理だし。

 それに、そんな話にはしたくなかった。私の思う問題の本質は、80年前の日本では常識だったことが今では非常識になってる、ということにある。過去と今が断絶してしまっている。ただ昔の出来事として書いても、現代の自分たちの問題としては伝わらないと思った。昔は大変だったね、今の時代に生まれて幸せだね、よかったよね、でも語り継がなくちゃいけないよね、とか。ミクロ的には大事なことなんだけれど、それで終わりにしたくないんだ。

そんな話はしたくなかったんだ。

 だからあえて現代に持ち込んでみたんだけど。世界設定が雑すぎた。あまり重要ではないと思って適当に書いてしまった。「敵対勢力」とか私にもなんだか分からないし。中華かもしれないしイスラム過激派勢力かもしれないしアメリカかもしれない。何でもいいや、と。具体的な地名など頻繁に出てくる割には設定が雑、まんま非常識な話になってしまった感も否めない。認識が甘すぎたか。

 「ユーラシアンスタンダード」は1000年前から変わっていない。何も変わっていない。日本の常識は世界では非常識。世界の常識は日本では非常識。でも、読み手にそういう問題意識を呼び起こすような作品構造になっていなかった。ので、普段からうちの記事を読んで頂いている方や、同じような認識のある方には、ああそういうことか、と察して頂けたのかもしれないけど、それでは読者に依存し過ぎだよなあ。


● ユーロ破綻は確実。っていうか破綻・分裂させないともう救えない。中東情勢は収拾がつかない。中華の経済破綻は止まらない。ユーラシアの混乱は今後も深刻化してゆく。中華の現在の状況は、1930年代の完全に行き詰まっていた日本に似てる。当時の日本ほど無謀なことはしない、出来ないとは思うけど、保障はない。国連にしても元々たいした力もないけど、近頃はますます権威を失っている。もう役に立たないだろう。作中では「国連平和維持軍」ではなく「有志国連合」としたのは、現代のそういった場面で、もう国連は役に立たなくなりつつあるようだ、ということを意識しています。


日本国憲法9条は世界の最先端、世界の非常識。アメリカと50年以上も前から「集団的自衛」の条約を結びながら、自分側は一切負担しようとせず。憲法を盾にアメリカに一方的に負担を押しつけるという卑劣なことを無自覚にやって「平和憲法」をのたまいながらアメリカを非難するのが日本の常識、世界の非常識。

 まあ、日本国憲法はアメリカ製なので、アメリカ的には自縄自縛だけど。強力なライバル国であった日本がここまでヘタレるとは予想外。ソビエト健在時代は大目に見てくれてたけど。近頃のアメリカのイライラ感は凄いよ。邪魔くさくて仕方がない。


この件はまた別途やりましょうか。

こうやって直接的に説明してしまうと簡単なのに。小説って難しい。

っていうか、旅とは違う話になってしまったのはそもそもどうなんだ?