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プーチン vs オバマ

国防・外交 無双!中野学校

 前回の続き、中野学校の宿題・回答編、その2です。

 その前に、ちょっと言い訳を。宿題の期日が火曜の朝までで、回答の原稿を書いていたら結構な文章量になっています。当初は4000字くらいのつもりだったのですが、二倍以上になっています。なので、普段の記事よりも見直し・校正の時間が短いのですよ。で、前回の記事を読み直してみると、正直言って、安倍さんを悪し様に言い過ぎているような気がしてきました。

安倍外交

 安倍首相はロシアに対しては、欧米に歩調を合わせずソチ五輪の開会式に出席したり、独自ルートで北方領土問題の対話をしたりなどしていました。これはプーチン大統領に対して「日本はロシアの味方だぞ」というメッセージを送っていたのであって、結構うまくやっていたと思います。これ、日本が考えていたのは中国包囲網で、ロシアにもその一角になってもらおう、というものです。まあ、結局はアメリカに逆らえず、経済制裁に加わってロシアからは不評をかってしまいました。ああ残念、失敗だあ!なんて思っていたので、つい。

プーチン外交

 プーチン大統領の方は冷静なもので、G7などどこ吹く風、天然ガス資源をカードに、日・中・欧州各国と個別に外交交渉を進めています。経済基盤が弱く、世界への影響力の落ちているロシアの立て直しに躍起になっているプーチン。実際に外交カードって天然ガスくらいしかないんですよね。ロシア復活のため、日本の技術力や中国の経済力などを活用したい、と考えていることでしょう。その辺は安倍首相もよくご承知のようで。しかし、やはり日本国憲法の足枷、宗主国アメリカの思惑、経済政策の軽視、誤りなどから、厳しい状況に追い込まれているように見えます。はたして日本の挽回はあるのか。

 今のところプーチン VS オバマは、プーチンの方が何枚も上手に見えます。ユーロ各国も、表面上はともかく、アメリカに同調する気があるのか怪しい状況です。大体、クリミア半島ってアメリカにとって何なの?って考えると、単にウォール街の投機筋が、ロシア資源で一儲けしてやろう、くらいの動機しか残っていないかもしれないので、いつまでアメリカがこだわり続けるのか。
 ユーロにしたって、スラブ人の国でしかも財政破綻状態にあるウクライナをユーロに加える気など、毛頭ありません。ユーロに近づいたところで、飼い殺しにされるだけです。あり得ない話ですが、もし万が一、ウクライナがユーロに加わるようなことになればギリシャ同様に、ウクライナ国民は酷い目に遭うのは確実です。対してプーチンは本気でウクライナを救済する姿勢を見せています。こうなると、ウクライナがロシア側に付くのは自然な流れでしょう。

 日中に対しても、双方の対立具合を見ながら、数少ないカードを、時には慎重に、時には大胆に、タイミングを見計らいながら切ってくることでしょう。果たして安倍首相が考えているような対中包囲網に乗ってくるか。現時点では既に、基本的な戦略として「ユーラシア大陸からアメリカの覇権を排除する」という方向で中国とロシアは利害が一致しており、この両国の関係は今後も密接になっていく可能性が高そうです。

国益とは何か

 ユーラシア大陸の権益ってどれほどアメリカの国益になるのでしょう。中東に関しては、イスラエルにしろシリアにしろ、ろくに手を出そうとしないのは、アメリカがヘタレている、というより、興味を失っている、という面もあるのではないでしょうか。いくら中東に介入したところで、事態の収拾は付かず、米兵士は疲弊し、泥沼化するばかり。国内の反発も強まる。シリアなんか、実は天然ガスが出なくなってきている、とも言われるし、アメリカにしたって、シェールガスやシェールサンドなどのイノベーションにより、北米大陸内の自前のエネルギーで事足りる可能性が大きくなっている、ということもあります。
 太平洋と大西洋によって、大きく隔てられているユーラシア大陸に、積極的に絡んでいくメリットがどの程度あるのか。「モンロー主義」(孤立主義のことです)がアメリカの本来の国益なのではないか、という原点に立ち返るのもアリなのではないでしょうか。アメリカの生みの親であるイギリスを始めとしたヨーロッパにも、もう十分に義理は果たしたでしょう。
 元々オバマは中国と対立する気はないようだし、ロシアに対しても経済制裁はあまり長続きしないのではないでしょうか。アメリカを当てにするしかない日本は、非常に苦しい立場になっています。
 
 果たして今後、オバマ大統領はどう出るのか。というと……もう既に、アメリカ国内でのオバマ大統領の求心力は無くなっているようです。アメリカ下院はねじれ国会状態で、思うように法案を通すこともできない。いわゆる「レームダック」状態です。実際、イマイチ何を考えているのかよく分かりません。TPPなんかも米国会は反対しているのに、財界の圧力が強くてやらざるを得ないみたいだし。おかげで「アンクル・トム」(注)などと揶揄されています。ご本人も、もう何をやっているのか、よく分からなくなってきているのでは?ではやっぱり、アメリカの弱腰は、中西氏の言うとおり、単に「オバマ問題」なのでしょうか?
 
 というわけで、次回の記事は「アメリカの大統領問題」です。明日の朝までにアップされる予定です。ああ時間がない……




注)アンクル・トムとは、以下のリンク、Wikipediaの『蔑称としての「アンクル・トム」』のところをご参照下さい。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%88%E3%83%A0%E3%81%AE%E5%B0%8F%E5%B1%8B