戦後は破局へと回帰する

佐藤健志さんの著書。

震災ゴジラ! 戦後は破局へと回帰する

震災ゴジラ! 戦後は破局へと回帰する


私、まだ読んでおりません……

 中野剛志さんとの対談動画で知ったんです。ニコニコ動画で、約1時間の動画4本。初回は昨年11月で最終回が今年の3月。長かったあ。興味のある方は「保守はゴジラを夢見るか」でググってみて下さい。

 佐藤健志さん、戦後レジームについて、日本の物語のツジツマが合っていない、という観点でお話をされています。「大東亜戦争でとことん戦うと言っておきながら、日本人には本土決戦をやらなかったというやましさがある」と仰るんです。観点としては面白いけど、なんかイマイチ、ピンとこないなあ、と思いました。本土決戦なんかやってたらホントに日本が滅亡するぞ。そりゃ無いだろ。ちょっと無理があるのでは?それに、日本が本格的にダメになってきたのは1995年あたりからでしょ。その頃から現代にかけて活躍した、著名な政治家と言えば、まずはなんと言っても小沢一郎小泉純一郎。このお二人が東西横綱って感じ。共に昭和17年生まれ。そして橋本龍太郎民主党鳩山由紀夫菅直人、といったところでしょう。いわゆる焼け跡世代~団塊の世代教育勅語を知らない、戦後教育世代でしょ。その辺の人達、先の大戦のことなんて全然考えてないだろ、なんて初っ端に思ってしまいました。
 「戦後は破局へと回帰する」ってどうだろう。「バブルの世代」とか、「戦争を知らない子供達」の世代って、もっと軽薄というか、お花畑というか、なんというか。なんか違うんじゃない? それにこの佐藤さん、見た目も話し方も、なんとなく胡散臭いし。

 当初はなんか話の結びつけ方や展開が、ちょっと強引な気がしていたんです。でも、色々と聞いているうちに、だんだん説得されてきてしまって、もっとよく聞いてみよう、と思いました。その後で見たのは西部邁さん、藤井聡さんとの3者対談動画。中野さんの時より、なんか話が解りやすい気がする。
 で、「さくらじ」の出演回も見てみました。「さくらじ」って対談相手が今までのような、学者や思想家ではなく、もっと普通の人、特に向かって右のSAYAさんは歌手、ということもあったせいか、話が非常に解りやすい感じでした。うわー、やべえ!すげえぞこの人……佐藤さんて、すごくね……?


 
【古谷経衡】さくらじ#119 佐藤健志が語る『震災ゴジラ!』と『僕たちは戦後史を知らない』【saya ...


 大変な衝撃を受けてしまいました。んで、中野さんとの対談動画、全部見直したんです。やっぱ、すげーぞ、この人…………胡散臭い、なんて思ってスミマセンでした!!話の内容が濃すぎて、一回二回聞いただけでは、なんとなく解ったような気がしても、まだまだ全然、自分のものになっていない、という感じです。


 戦後レジームがいったいどんなものなのか、なんてのは、今までいろんな人の話をさんざんぱら聞いたり読んだりして、自分なりに再構築、まあ正直言ってもう、概ね「見切った」と思っていたんです、私。まだまだ全然、未熟者でした。恐れ入りました。佐藤さんの本、読んでみようと思います。


私は普段、新書か文庫小説しか買わないので……書籍って結構高いなあ……

八紘一宇

 この、佐藤健志さんのお話、非常に興味深く、面白いものでした。ただ、今現在は、それを皆さんに説得力ある表現でご紹介する、という力量を、この私が持ち合わせていない、という問題が……

 あまり賛同は得られない気もしますが、一つだけ、腑に落ちたことを書いておきます。戦後レジームについて、私の中で、イマイチ説明がついていなかったこと、答えが見つからなかったことがあったんです。それは民主党、鳩山政権が掲げていた、のかな、まあ、とにかく鳩山さんの言っていた「東アジア共同体」のことです。或いは、「日本列島は日本人だけのものではない」ってやつ。

 ネットの一部だと、あれをもって民主党は韓国の傀儡だとか中華の手先だとか、非難されていた、というか、決めつけられていましたけど、そんなわけは、ありませんよ。

 確かに非現実的で間抜けな話です。でもアレを言い出したのは日本人です。アジアでは日本人特有の発想なのです。決して外人に言われたことではない。確かに、外国勢力につけ込まれる要因になりましたが、それは後から乗っかってきたものです。

 「東アジア共同体」ってのはどう考えても、大日本帝国が掲げた「八紘一宇」であり「大東亜共栄圏」なのです。憲政日本の、古くからある、ある種の理想なのです。なぜか左翼である「民主党政権」が、右翼である「大日本帝国」と全く同じ理想を掲げている。私は、なぜそれを鳩山さんや小沢さんが主導するのか、そして朝日新聞が支持するのか、とても不思議でした。彼らは、自分らのやっていることが、彼らの忌み嫌う「大日本帝国」と同じだと、何故気付かないんだろう……? ……まあきっと、彼ら的には、元は国連由来なのであって、大日本帝国とは違う、つもりなのかな、くらいに思っていました。小沢さんて国連大好きだし。そして当時の近衛政権や東条政権も、きっと民主党政権並みに間抜けな政権だったのだろう、と。朝日新聞て、当時は東条政権を絶賛していわけだし。
 それもまあ、決して間違いではなかったけど、考察としては浅すぎました。そんな、個別の政権がどうこう、なんていうだけの話ではなかったのです。佐藤さん、それを完璧に解説してくれました。いやー、まさに目から鱗です。


 まあそして、ついでだし、もう一つ、言ってしまいましょう。益々賛同を得られなそうですけど、考える切っ掛けにして頂ければ幸いです。
 安倍総理は、ナショナリストの様でありながら、実は明らかにグローバリストですよね。それは結局「八紘一宇」の精神なのではないかという気がしてきました。愛国者である、百田尚樹さんや青山繁晴さんが安倍総理に惹かれるのは、そこに理由があるんじゃないか、と考えると腑に落ちます。構造改革やらTPPやら移民推進なんてのは、グローバライズであり、日本文化の破壊なんですが、同時に「八紘一宇」の精神でもあるんですね。
 私は「大東亜共栄圏」も「東アジア共同体」も「グローバリズム」も、みんな根っこは同じなんだと思います。「八紘一宇」なのです。

 かつては日本が南米や満州へ移民を送り出す側でしたけど。現代においては、移民の向きが変わっただけです。安倍総理の掲げている「戦後レジームからの脱却」そして「日本を取り戻す」。これ結局は日本主導の「八紘一宇」を取り戻すって話であって、まさに「戦後は破局へと回帰する」のでしょう。安倍総理自身が仰っています。「私自身が固い岩盤を砕くドリルの刃になる」と。破壊対象の「固い岩盤」とは、いったい何のことなのでしょう。何を破壊したいのでしょうか。西暦2020年。いよいよ日本は本物の破局へと回帰する。