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失われた、のは15年

 前回は、名目と実質GDP、「実質」にばかり囚われず、名目と実質のバランスに注目しましょう、って話でした。じゃあ今回は、実際に「失われた20年」なんて言われている日本の名目/実質GDPのバランスはどうだったのか、について見てみましょう。

今回のデータ、こちらから引用させていただきました。
     → 日本のGDPの推移 - 世界経済のネタ帳


まずは実質GDPから見てみましょう。


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 意外なことに、なんと1990年代前半のバブル崩壊では、成長がやや鈍っただけ。1997年に消費税は3→5%になり、直後にはアジア通貨危機。やはり若干の落ち込みが見られますが、その後のいざなみ景気、と言われた2005年近辺は結構な成長。リーマンショックで大きく落ち込みます。ですが、その後はちゃんと回復していますね。2013年度は、なんとリーマンショック前を上回り、ついに実質GDP最高値を更新!さすがアベノミクスバブル崩壊以降、失われた20年、とかいう割には、全体としては、それなりに右肩上がりです。実質経済成長は続いているのです。やはり消費増税は止むを得ませんよね!今でしょ!


では次に、名目GDPを見てみましょう。


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 こちらも意外なことに、バブル崩壊以降もそれなりに成長は続き、1997年がピーク。しかし、その後は右肩下がり。2005年頃の、いざなみ景気の当たりで下げ止まり、ようやく上がりそうかな、というところでリーマンショックで更に大きく落ち込み。その後の回復も芳しくありません。いざなみ景気ってよく「実感無き成長」なんて言われていましたが、見ての通り。名目(つまり、賃金)の成長が殆どないので、実感できる訳がない。あくまで名目GDPが実感なのですから。
 2013年度は、アベノミクス効果、ってのも無くはないですが、リーマンショック前、アジア通貨危機前、の水準からすればまだまだ全然、ほど遠い状況。この有様で消費増税って……大丈夫なのかよ……

バブル談話

「いざなみ景気→落ち込み」ってのはサブプライムバブルの発生→崩壊、そのまんまなので、結果論としては、なるべくしてなった、という感じです。当時は日本に限らず、アジア各国の経済はサブプライムバブルに支えられていました。更にそれを支えていたのが日本の金融緩和。ヘッジファンドなんかがこの緩和マネーに目をつけ「円キャリートレード」で円売りドル買い、相当なマネーゲーム資金が日本から調達されていたとか。小泉政権時代の、俗に言う「日銀砲」も、内容は米国債大量買いオペ、延べ一兆ドル!なので、アメリカバブルを下支えしていた可能性が高い。


 余談というか、ちょっと脱線しますが、この辺、現在の「黒田バズーカ」とも呼ばれる日本銀行による「異次元の金融緩和」も同様の傾向が見られる、という人もいらっしゃいます。経済学者の菊池英博先生とか。リーマンショックで大ダメージを受けていたヘッジファンドなんかが、この緩和マネーのおかげで息を吹き返し、サブプライムバブル期と同様に、円キャリートレード日本株買い、円売り、外貨買いで、円安外貨高。日米の緩和マネーが新興諸国の土地バブルを引き起こしているのではないか、との指摘。そして、その新興国や中国の、バブル崩壊が迫っているのではないか、と指摘するのは、前々々回「世界大戦の教訓」で著書を紹介した、柴山啓太先生。私は今から戦々恐々です。次なる世界バブル崩壊は、2017年?


 さて、実質と名目、皆さんの実感はどちらに近いでしょうか?聞くまでもないでしょうか?そりゃ、「名目」の方、ですよね-!?マスコミ報道のたぐいって「実質」ばっかりで。特に、消費税の話するときは、上の方の実質のグラフだけ見て「日本は実質成長している!」って話ばっかり。それじゃダメだろ、と言いたかった訳です。アベノミクスもそう。そんな言う程うまくいってないって。




次はGDPデフレーター


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 物価水準の推移です。右上がりがインフレ、右下がりはデフレ。ピークは1994年頃。1998年位からは、もうずっとダダ下がり。これぞまさに、完全にデフレスパイラルです。15年で約20ポイントも下がっているのです。我々の労働価値が15年で20%くらい下がった、ってことです。
 う~ん、程度の差こそあれ、日本は、前回の「大A帝国」と同じような状況ってことなのか……この辺、詳しい話は、経済学者の菊池英博先生、評論家の三橋貴明先生の著書や動画などご覧頂けると、より詳しく知ることができます。

失われた15年

  1993年頃から「就職氷河期」というのが始まっていました。が、私の実感としては、なんか日本経済、本格的にやばいぞ、という気になってきたのは確かに1990年代後半頃。ベースアップが無くなり、給料がカット、に初めてなったのは1999年、だったように記憶しています。当時私は自動車部品メーカに勤務していました。確かにカーメーカーからの値下げ要望の圧力は凄まじかったです。まあそれでも、製造・販売が拡大している時期は、創意工夫や「カイゼン」で好循環に繋がっていくのですが。ここ15年は、基本縮小傾向のようです。

 クリントン政権ジャパンバッシングからパッシング、さらに円高ドル安政策で、1995年当たりから大変な円高、その後はアジア通貨危機で円安。アジア全体が低調になり、日本の製造業も随分とダメージを受けました。それ以降、海外への生産拠点移行をより強め、国内製造業の最後の砦だった自動車及び関連メーカーも、海外生産・地産地消へと、シフトしていかざるを得なくなっていきました。

 その頃から給料は上がらない、っていうかむしろ減る、ボーナスは減る、でも仕事は減らない、という循環が続いています。でもまあ、いざなみ景気、というか、つまりアメリカのサブプライムバブル期は、ボーナスだけは割とよかったですね。しかし、リーマンショック以降は、仕事自体が減ってきています。という訳で、神奈川県在住の、私個人の実感としては、ほぼ名目GDPの通りです。

アベノミクス」で、「失われたxx年」も一区切り、1998年頃から始まったデフレスパイラルも、丸15年、2012年ででついに終了か、と思われたのですが……

 菊池英博先生や柴山啓太先生の著書や動画やら見てしまうと……日本て、今のままでは、後もう10年ほどは、まだ失われそうな予感です。まさか、日本国そのものが、失われる、なんて、そんなことは……


次回、ではないですが、失われるのか?日本。鋭意執筆、予定中!


菊池英博先生のご著書

日本を滅ぼす消費税増税 (講談社現代新書)

日本を滅ぼす消費税増税 (講談社現代新書)

野口悠紀雄先生の著書

期待バブル崩壊――かりそめの経済効果が剥落するとき

期待バブル崩壊――かりそめの経済効果が剥落するとき

(野口先生の主張、私の考えとは全く異なるのですが、適切な分析なので、謙虚に学ぼうと)